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「悪の枢軸」を語る「戦争屋」――アメリカ世界帝国主義論と「米帝」中東・朝鮮戦争の脅威 小林正弥(千葉大学)

Posted: on 2:13 pm | 主張・意見・コメント(opinions), 平和問題

「悪の枢軸」を語る「戦争屋」ーーアメリカ世界帝国主義論と「米帝」中東・朝鮮戦争の脅威

 ■1.「悪の枢軸」発言ーー対イラク先制攻撃言明

田 中外相更迭(29日)に隠れてしまったため、同じ日に行われたブッシュ大統領の一般教書演説(資料1)はさほど日本のマスコミに報道されなかった。しか し、これは、外相更迭事件と同様に信じがたいものであり、日米双方の政権の低劣さと危険性をこの二つの事件以上に明確に語るものはない。

 この演説の問題点は、次の3つであろう。

1.イラクに加えて、北朝鮮とイランとを「悪の枢軸(Axis of Evil)」と呼んだこと。

2.対テロの論理を用いながら、「大量破壊兵器」所持国への戦争を示唆し、実質的には、戦争の論理を変更・拡大したこと。

3.自衛戦争という名目を捨て、事実上の先制攻撃の可能性を示唆したこと。

  これは、ブッシュ大統領個人の思い付きではなく、その後にライス・ラムズフェルトら政権首脳がそれを敷衍する発言を行い、大統領は「対アフガニスタン戦が 成功したからといって、本気ではないと思っている人達が世界にはいるが、我々に躊躇いはない」として、「各国も我々の側につく必要がある」と同調を要請し た(資料3)。さらに、穏健派のパウエル国務長官までが、大統領の強い指示に従って強硬姿勢に転じ、下院外交委員会で、フセイン政権打倒を「米国だけで行 わなければならない」「考えうる最も深刻な行動もありうる」と述べた(8日、資料11)。

  従って、イラク等の攻撃は既に政権全体の意思と見做さなければならず、副大統領の中東歴訪はイラク単独攻撃への布石と見られている(資料9)。アフガニス タン攻撃の際に、政権内部で強硬派は当初から大量報復攻撃としてイラクも同時に攻撃することを主張し、パウエルら慎重派の抵抗で、その実施を先延ばしにす ることとした。いよいよその時期が到来し、正に大量報復攻撃を開始しようとしているわけである。今回は、ロシア・中国などが批判しているのみならず、フラ ンス(ベドリヌ外相、ジョスパン首相)やイギリスのような欧州の友好国までもが批判的なので、アメリカ一国で攻撃に出るという信じがたい凶暴な姿勢を見せ ており、この姿勢は現在でも変わらない(資料17)。

2.「文明の対話」を破壊する戦争国家ーー邪悪なのはどちら?

  思想的に見て驚倒したのは、イラク・北朝鮮だけではなく、イランまでも「悪の枢軸」に入れたことである。同時多発テロ事件やアフガニスタン戦線について、 イランは比較的アメリカに好意的な姿勢を取っており、突然攻撃対象になる現実的理由は見当たらない。パレスチナへの武器輸出事件への関与を疑っているけれ ども、それだけで攻撃対象になるとは思えない(1)。タリバーン政権の場合は、その原理主義的な時代錯誤の硬直的思想の故に、思想的には擁護できなかった が、イランの穏健派・ハタミ政権の場合は、全く事情が異なる。

 ハタミ大統領の著書『文明の対話』(共同通信社、2001年) は、思想的にも相当評価できる良質の著作であり、むしろこのような角度からこそ、「文明の衝突」の危機を避け、文明間の平和共存が可能になると思わせるも のであった。ある意味では、イスラーム圏の現状の中で、ハタミ大統領は、いわば「哲人大統領」のような存在であり、「文明の衝突」を回避するための希望の 星であった。イラン内部では、なお強硬な保守主義的勢力も強いとはいえ、ホメイニ師がイラン革命を起こした国で、このような優れた思想を大統領が述べるこ との意味は決して小さくはない。さらに、現実の外交にも、同時多発テロ事件後にその改革派路線は明確に反映していたのである。

 イランは「文明の対話」を提唱していた。それを「悪」と呼ぶ国家は、すなわち「文明の対話」を破壊する戦争国家である。どちらが、「邪悪な国家」だろうか?

3.「文明の衝突」をもたらす「悪の帝国の戦争屋」

  テロとの直接的関係もないのに、イラクを攻撃し、さらに反テロ戦争に比較的協力的だったイランまでも「悪」と規定して、果たしてイスラーム諸国ないしムス リムはアメリカを支持し続けることができるであろうか? これでは、「テロ組織」どころか、原理主義ですらなくとも、アメリカの攻撃の対象になり得ること になる。穏健派のイスラーム国家ですら、アメリカの随従し続けない限り、先制攻撃を受ける危険が存在することになってしまう。過激派ならずとも、正統的な ムスリムから見てさえ、これはアメリカの暴虐な支配であり、「防衛的ジハード」の対象にならないであろうか?

  「文明の対話」を提案して国連のプロジェクトにまでした国家を攻撃するようでは、「文明の衝突」を自ら引き起こそうとするかのうようである。敵対していた イランとイラクとを共に「悪の枢軸」と規定することは、逆にこの二国の間の提携、ないしイランと他のラーム諸国との提携をもたらすかもしれない。シーア派 のイランとスンニ派のイスラーム諸国が提携することの意味は決して小さくはない。イスラーム内部の思想的対立が乗り越えられて、イスラームとしての連帯感 が現在以上に生まれてくるかもしれないからである。

  これまでは、イランーイラク(まして北朝鮮)の外交的提携ないし「枢軸」などは、存在しなかった。しかし、この愚かなアメリカの規定により、そのような 「枢軸」が生まれてきたら、どうするのだろうか? イスラーム陣営の結集という可能性が生まれてくる。これは、ハンチントンの「文明の衝突」のシナリオ通 りなのである。アフガニスタン戦線は、幸い「文明の衝突」にまでは至らなかった。しかし、アメリカは、本当の「文明の衝突」を引き起こしたいのだろうか?

  北朝鮮が「悪の枢軸」に対抗してアメリカを「悪の帝国」と呼んで非難した(資料8)のは、今までの行動パターンから見てむしろ当然の成り行きであろう。し かし、極めて理性的で教養の深いハタミ大統領が「戦争屋的な態度」と呼んだ(資料5)ことは、無視しえない。革命記念日(11日) には、イランは反米一色になり、大統領も「米国の政策はシオニストに影響されている」と述べ、「イラン国民を根拠なく侮辱することは許さない」、(「米国 に死を」と叫ぶ群衆を前に)「米国の指導者達は、自分が世界の支配者だと思っている。大人気ない彼らに目覚めてほしい」と演説したという(朝日、12日、16日、資料18も参照)。

  まず間違いなく、思想的に見れば、アメリカ政権担当者よりもハタミ大統領の方が高い教養・見識を有しており、北朝鮮の場合のように、その言を単純に扇動と 片付けるわけにはいかない。ビンラディン氏やオマル師の場合ですら、精神性においてはアメリカ当局者を凌駕しているのではないかと疑ったのであるが、ハタ ミ大統領の場合は、精神性は言う迄もなく、理性や教養においても優劣は明らかであろう。

  ハタミ師の反米演説は、決して単なる扇動演説ではなく、アメリカの非常識な態度に困惑した上での批判であろう。「大人気ない彼らに目覚めてほしい」という 言には、私も全く同感である。北朝鮮の金総書記ですら、「悪の枢軸」と名指しされて「思い悩み痛ましい様子」であったという(資料22参照)。

 イランはおろか、北朝鮮の言うことは、全て非合理な宣伝であるという常識がここでは当てはまりそうもない。「悪の枢軸」を語る者こそ、「悪の帝国の戦争屋」であるかもしれないのである。

■4.アメリカの国益による戦争ーー介入の真実

  ここから改めて明らかになったことは、例えばオマル師・タリバーンやフセイン大統領の思想や政策が非人道的だから、人々を助けるためにアメリカが攻撃する のでは全くない、ということである。ハタミ大統領のイランが非人道的で民衆を虐殺しているという報道があっただろうか? 保守派の抵抗が強くてイランの自 由化がさほど進まない、という点ならば、聞いたことがある。しかし、自由化を推進しようとしている大統領を頂く国を攻撃することが、「人道的介入」だと は、さすがのアメリカも言い得ないであろう。

 ア メリカは、多くの場合、それらの政権の人々を救うために爆撃しているのではなく、自らの「国益」(と信じるもの)を達成するために爆撃しているのである。 アメリカの介入事例を見ればこれは自明であるが、この自明の理を直視しない論者が多いので、敢えて強調しておきたい。タリバーン政権の残虐な刑や女性抑圧 から、民衆を救うために爆撃するなどというのは、全くの戯言である。

  タリバーン政権の厳格な刑によって、北部同盟支配下の犯罪行為の横行が抑止されたのであったし、女性「抑圧」は、アフガニスタンの田舎の習慣の強制であ る。女性抑圧により爆撃するならば、サウジアラビアも爆撃しなければならないであろう。既に、新政権の下で犯罪の増加が報道されている(資料23)し、ド スタム将軍など軍閥同士の内紛や地方勢力間の武力衝突が伝えられている(2)。それどころか、この文章の執筆中に、政権内部の反目で、国防省のアブドラ・ ジャン・タフィディ司令官、カランダル・ベグ国防次官、ハリム検事らによりアブドル・ラーマン航空・観光相が殺害されるという驚くべきニュースが飛び込ん できた(資料22)。再び内戦状態に戻って殺戮が始まらないように願うばかりである。

 それ故、タリバーン政権攻撃の名目は、戯言であると同時に、アメリカの宣伝ないし扇動(プロパガンダ)なのである。アメリカの軍事行動の目的は、敵対者の討伐という一点にある。の 真実から目を逸らして、例えば「解放されて喜ぶ女性」の映像を流すこと、それに踊らされることは、「戦争宣伝(プロパガンダ)」に惑わされているのであ る。女性の抑圧を悲しむ者が、無実の民衆の頭上に爆弾を降らせるだろうか? 田舎の旧習は、爆撃で打破すべきものではないのである。

 アメリカは、イランの政権は、なおイスラーム政権だから民衆を抑圧しているとでも言うのだろうか? もはや、このような戯言に惑わされる人はあまりいないだろうから、これはプロパガンダにすらならないかもしれない。

■5.パレスチナ戦線ーー全面戦争の危機

 他方、パレスチナ情勢はますます悪化してきた。改めて言う迄もなく、イスラエル(ーアメリカ)のパレスチナ人虐殺政策は目に余る。シャロン首相こそ、典型的な「戦争屋」、否、それ以上の「戦争狂」である。

  イスラエルが自治政府を「テロ支援体制」と決めつけ、断行を宣言したのに対して、アラファト議長ら自治政府は、「武装闘争禁止」を宣言する演説を行い (12月中旬)、ハマスら過激派も同意して1月上旬まで自爆テロを停止させることに成功し、自治政府の権威と実力を示した。これは和平への好機であった

  それにもかかわらず、イスラエルは武器密輸を問題化したり過激派を暗殺したりして、過激派をして自爆テロ再開へと走らせた(1月9-10日)。これに対し て、イスラエルは報復し、「イスラエルによるファタハ武装メンバー暗殺(14日)→ファタハ武装部門による銃乱射事件(イスラエル北部、17日)→自治区 トルカレム占拠・ナブルス侵攻・ハマス4人殺害(22日)/ファタハ武装部門小銃乱射(西エルサレム、22日、40人負傷)→ハマスのガザ地区指導者暗殺 (24日)→テルアビブ自爆テロ(25日)→ガザ・トルカレム自治政府治安施設空爆(25日)」と続く。これに対して27日には、初の女性自爆テロ(西エ ルサレム、1人死亡140人負傷)が起きた。イスラエル・パレスチナ双方の強硬派は「全面戦争」を求め始め、情勢は悪化の一途を辿っている。もはや停戦や 和平を願う段階ではなく、全面戦争の回避がとりあえずの目的となっている状態である。

  停戦の好機が生まれる度に、イスラエルは過激派幹部などを暗殺して、自爆テロを誘発しているのだから、停戦が実現するはずもない。事態を冷静に見れば、イ スラエルの方針は、「反テロ戦争」の論理を借用して、一歩一歩自治政府の権威を低下させ、アラファト議長を失脚させて、オスロ合意を廃棄し占領を固定化さ せることに他ならない。シャロン首相は、(82年の国防相としてレバノン侵攻を指揮してPLOをベイルートから退去させた際に)「アラファトを抹殺しな かったことを後悔している」と語っているのである(31日、朝日1日)。

  場合によっては、全面戦争も辞さないであろう。全面戦争になれば、イスラエルの軍事的勝利は、短期的には、火を見るよりも明らかだからである。シャロン首 相は、本当は、占領の固定化どころか、自治政府を解体し、パレスチナ人をパレスチナから追い出して、全土をイスラエルの正式の支配地にしたいのではなかろ うか?

 既にパレスチナに火は燃え上がってしまった。もはや単に「パレスチナ紛争」というよりも「パレスチナ戦線」と呼んだ方が適切かもしれない。

6.戦争狂と戦争屋ーーテロ国家同士の親分ー子分関係

 これは、シャロン個人のかねてからの「野望」であろう。しかし、それが実現しかかっているのは、盟友アメリカに「戦争屋」が現れたからである。反「テロ」世界戦争の論理とは、「戦争屋」の論理なのである。

  昨年12月から議長をラマラで軟禁状態に置いているイスラエル政府は、アメリカにも断行を迫った。アメリカも、既に1月24日にイスラエルの行動について 「理由を理解している」(フライシャー大統領報道官)とし、アラファト議長に対してブッシュ大統領自身が(武器密輸船事件に対する対応について)「非常に 失望している」と語った(1月25日)。自治政府との関係断絶も検討を始めたという。

 そこで、シャロン首相の訪米に合わせて、イスラエルは2月4日に過激派(パレスチナ解放民主戦線)武装部門軍事指導者らの車を爆発させて爆死させた。その報復として、ハマスは入植地を襲撃して3人殺害し(6日)、それに対して自治政府施設を空爆した(7日)。

  この狙いは、この際、一気にアメリカを自治政府と関係断絶に向かわせようとするところにあったと推測される。さすがに、今回はアメリカは関係断絶に踏み切 らず、関係継続を表明した(7日)。「戦争狂」が「戦争屋」を説得している構図であり、「戦争屋」は辛うじて「戦争狂」にはならずに踏みとどまった。しか し、イスラエルの自治政府孤立化政策には支持を与えている。

  ビンラディン氏は「テロリスト」で、ブッシュ大統領は「対テロ戦争」を唱える「政治家」であるという姿勢を取る事が、これまでは可能であった。湾岸戦争時 に、フセイン大統領は「ファシスト」の「独裁者」のようにして攻撃された。しかし、ハタミ大統領は、どう見ても「テロリスト」ではないし、「ファシストー 独裁者」でもない。また、パレスチナ側のテロを批判して抑制を呼びかけている現在のアラファト議長も、「テロリスト」とは言えないだろう。

 むしろ、アラファト議長のインタビューを見ると、正義がパレスチナ側にあることが明確になる。

 「24日間、暴力が止まった。シャロン首相は『7日間の暴力停止』を停戦実施の条件としたのに、なぜ、停戦を実施しないのか。暴力停止は、イスラエルが停戦を逃れる口実に使っているだけだ」

 「我々はイスラエルに対する(過激派の)テロを非難する。しかし、イスラエルが西岸やガザで続けている軍事占領も国際法に違反するテロ行為だ。」(1月14日、朝日)

  やはり、占領して過激派の暗殺を続け、自治政府の長を軟禁状態に置くイスラエルは、「テロ国家」であり、それと連携して世界中に戦争を拡大しようとするア メリカも「テロ国家の親分」なのではないだろうか。つまるところ、この両国関係は、テロ国家同士の親分ー子分関係であり、帝国とテロ国家との恩顧主義的関 係なのである。やくざやマフィアに似て、「親分」は「子分」よりも、少しだけ「上品」に口実を付けて無辜の民を殺すけれども。

  10日には、ガザ自治区北部からハマスのロケット弾「カッサム2」がイスラエル領内に打ち込まれ、イスラエ南部のベールシェバの軍南部司令本部入り口付近 でパレスチナ人の銃乱射事件が起こった。これに対して、シャロン首相らは「状況は新段階に入った」として、10・11日に、ガザを報復空爆し(数十人負 傷)、ガザを占拠して安全保障地帯を設定する構えを見せている。

 これに対して、自治区では、11日群集が刑務所を襲い、ハマスやイスラーム聖戦の過激派10人以上を脱獄させた。民衆の人心がどこに向かっているかを象徴的に示す出来事であり、フランス革命のバスチーユ襲撃を連想させる。14日にはイスラエル軍最新鋭戦車が爆発で大破された。イスラエルの報復は必至で、暴力の連鎖は止まる所を知らない(帰結については、資料22参照)。

 テロ国家としては、イスラエルの方がアメリカよりも徹底している。テロ国家の子分のほうが、その親分よりも荒々しく軍事力を行使する。親分は、この鉄砲玉のような子分を制御できるだろうか?

7.中東戦線ーー第5次中東戦争への火種

  パレスチナの全面戦争化とイラクーイラン攻撃は、かねてから危惧していたような「第5次中東戦争」勃発への危険を意味する。「異教徒軍の駐留の長期化」に ついてサウド王家も批判を受け始め、イスラーム過激派封じに乗り出した(朝日、1月11日)。国内反米イスラーム教指導者が何故か発作で急死し(19 日)、サウジ高官らが「米軍が長居しすぎている」と述べ、米空軍(約5000人)の基地からの撤退を要請する可能性がワシントン・ポストで報じられた (18日、朝日22日)。このような状態の中でアメリカ単独のイラク攻撃が開始されれば、中東全域が不安定化することが懸念される。

 既 に「反『テロ』世界戦争」は第2戦線が開始されている。1月にフィリピンに、イスラーム過激派アブサヤフ掃討のために特殊部隊や米軍を派遣した。南部で行 われる米比合同軍事演習「バリカタン02-1」に参加し、これは単なる「対テロ演習」であるとしているが、実際の戦闘に参加しないという保証はない。それ 故に、「比国内での外国軍の戦闘を禁じた憲法違反」という批判の声が上がっており、米軍と比軍との間では指揮権をめぐる緊張も生じている(2月1日朝 日)。当初は「米軍はフィリピン軍の指揮下に入る」としていたが、結局は(部隊レベルでは米軍は独立した展開はできないとしながらも)現場レベルでは両軍 は独立した指揮権を持つことになった(13日)。

  この決着は、アメリカの意図や誇りから見て、当然のものであろう。全く軍事力を行使しえないならば、そもそもフィリピンでまず軍事的展開をする意味がない し、米軍が比軍の指揮下で動こうはずもない。しかし、フィリピンの憲法秩序は、これで蹂躙されるかもしれない。それは、アメリカにとって顧慮するには足り ないことである。アメリカは、自分の都合によって当該地域の憲法秩序を変えればいいと考えるのであろう。これが、後述する「帝国主義」的思想様式であり、 憲法第9条をめぐって日本に対しても戦後しばしば見られるところであった。

  フィリピンでも無辜の死者が出るかもしれない。しかし、フィリピン戦線自体は、政府が協力的であるが故に、アフガニスタンほどの大きな問題にはならないで あろう。しかし、これが先例となって、他の様々な地域に戦火が拡大していくことが恐ろしい。これを先例として、イラクなど中東に軍を進めようとする意図が 明確だからである。

 ■8.北朝鮮戦線ーー第2次朝鮮戦争と周辺有事

  危険は、「文明の衝突」による「中東戦争」だけではない。アメリカは「反『テロ』」を名目にしながら、その実、「テロ」とは直接関係のない国家を攻撃の対 象としつつあるからである。特に、「悪の枢軸」には、北朝鮮も入っているから、これは日本にとっては重大な問題である。アメリカこそ「悪の枢軸」であると 非難した北朝鮮との間に戦端が開かれる危険を完全に無視することはできない。これは、「第2次朝鮮戦争」を意味する。

  もちろん、万一本当に戦争が起これば、北朝鮮は敗北し、政権は転覆するであろう。しかし、断末魔の北朝鮮が何をするかは、予断を許さない。問題のミサイ ル・テポドンを日本に発射する危険も完全にないとは言えない。日本は有事立法を行った上で、アメリカに軍事的協力を行う可能性が高い。それに対して、報復 を企てる危険がありうる。

 ドイツ・ハンブルグで、テロとの関連で家宅捜索されたスーダン人学生の部屋から、ベルリンのイスラエル大使館と日本大使館の設計図が発見された(131日)。 つまり、日本も、アメリカに軍事的に協力しているが故に、過激派の標的となりつつあるのである。「参戦」は、このような意味において国民を危険に晒すこと である。そして、朝鮮有事の際には、この危険は格段に大きい。中東戦争の場合に比べて、朝鮮有事はまさに周辺の非常事態である。もはや対岸の火事ではあり 得ないのである。

9.反「テロ」世界戦争ーー世界大戦への類比と論理の転換

  地球的平和問題会議の際には、反「テロ」世界戦争という呼称を提起した。その際は、「世界戦争」という表現は、少し強すぎるという懸念がなくもなかった。 アメリカの意図は、「反テロ」を旗印にして世界中に戦線を拡大するところにあるが故に、このような呼称を考えたのであるが、第1次・第2次世界大戦のよう な「大戦」となるとは必ずしも考えてはいなかったからである。

  しかし、「悪の枢軸」発言は、アメリカ大統領自身は、世界大戦に喩えられるような戦争を起こしたいと考えていることを意味している。言う迄もなく、「枢 軸」とは、第2次世界戦争における枢軸諸国、すなわち、ドイツ・日本・イタリアのことを指すのであり、それに喩えて、イラク・イラン・北朝鮮を「悪の枢 軸」と呼んだものだからである。この意味では、正に「世界戦争」という表現は、アメリカ大統領の自己意識からみても適切なものだったことになる(資料6、 12参照)。 

  また、反「テロ」という表現におけるか「 」の意味も、この上なく明瞭になった。「悪の枢軸国」は、実は同時多発テロ問題とは殆ど関係がないからである。 大統領は、あたかも関係が有るかの如く述べているが、論理は大きく転換している。すなわち、「大量破壊兵器」を所持する国は、テロ支援をする可能性がある から、攻撃すべきである、という。問題は、テロ支援の有無ではなく、大量破壊兵器の有無になっているのである。この論理のもとに、現在はイラクや北朝鮮に 査察要求を突きつけている。

  以前に指摘したように、これは信じがたいような二重基準である。もちろん、もっとも大量破壊兵器を所有している国家、そして使用している国家は、米国であ る。アメリカは、テロの如き違法な暴力の行使をしたことがないわけではなく、ラテン・アメリカを始め、数々の地域でそのような先例を有している。アフガニ スタンでは、原爆に準じるような非人道的大爆弾(デイジー・カッター)を用いた。今日(14日) も、イギリスとともに、未臨界核実験をネバダ地下実験場で行い、包括的核実験禁止条約(CTBT)死文化させようとしている。そして、イスラエルにF16 戦闘機や攻撃用ヘリを供給して、パレスチナ人に対する明白な国家テロを支援している。大量破壊兵器所有国は確かに危険である。しかし、テロ支援をする大量 破壊兵器所有国を須らく爆撃しなければならないのならば、まずはアメリカを爆撃しなければならない。

 ■10.覇権国の帝国主義ーー米帝国論

結 局のところ、アメリカの真意は、「テロ」云々にあるのではなく、自らに軍事的・政治的に歯向かうような可能性のある国家の政権を壊滅することにあると言わ ざるを得ない。もちろん、このような観点から見れば、その一番手がイラクである。それ故に、フセイン政権を崩壊させることが必要なのである。

  軍事的・政治的に反対する国家を軍事力によって壊滅させるという発想は、覇権国の帝国主義と言わざるを得ない。「米帝」などという、左翼の手垢がついた表 現を副題に付したのは、この点を明確にするためである。もちろん、私は、マルクス主義や新左翼には組するものではなく、そこで言われるような「アメリカ帝 国主義」論には必ずしも賛成しない。しかし、彼らの常套句が、今や真実味を帯びてしまっている点に、注意を喚起したいのである。

  これは、決して私の奇異な思いつきではなく、実は、ブッシュ政権の支持者自身が明確に意識しているところであり、肯定的に推進しているのである。既にHP には、この種の帝国主義論についての記事をリンクしてある(3)が、朝日新聞も紹介したので、その記事を要約しておこう。

●見出し 「米帝国論」の震源に、こわもて政策研

単独行動主義 下支え 対イラク強硬論を進言 「レーガン政策」へ傾斜

著 名コラムニストで保守系雑誌「ウィークリー・スタンダード」の主幹のウィリアム・クリストス氏が5年前に創設した外交・安保問題の研究所「新アメリカの世 紀プロジェクト」(PNAC)。この中心的思想は、「軍事力を積極的に行使し、自由や人権、民主主義、資本主義といった米国的価値観を世界に普及させる新 保守主義」(ドネリー副事務局長)で、ニクソン流の現実主義的保守主義とは異なり、レーガンのように米国的価値観を「十字軍」のように広めることを目指 す。「帝国主義」と呼ばれることは嫌うが、「パックス・アメリカーナ(米国支配による平和)」を公然と唱える。このもとに、イラク・フセイン体制打倒を求 め、国防費増大を主張する。

 副事務局長のインタビュー「世界に米の原理を」

「力(パワー)を積極的に行使するよう政府に働きかけ、米国の原理原則を世界に広めることが目標だ。反民主主義的な敵は「米国の覇権主義」と批判するが、強大な米国の力を認めざるを得ない。

 具体的には、政権内の多くの友人と接触するほか、ワシントンの重要人物2500人にニュースレターを出している。

 ブッシュ大統領は、米国の過去を恥じるベトナム戦争時代のクリントン前大統領と異なり、米国の指導力を発揮するだろう。だが、(国家間の)力のバランスだけを信奉する現実主義者が政権内にいるので心配だ。

 イラクのフセイン政権打倒が望ましいという点では、政権内の認識はほぼ一致している。問題はどう倒すかだ。地上軍を当初から大胆に投入し、反政府勢力の蜂起を促すべきだ。

 …

 最近、欧州諸国の対米協力を取り付けることがますます難しくなってきた。この点、日本の対テロ戦での協力は前向きだ。欧州も日本のように成熟してほしい。」(2月1日、金曜日)●

 ■11.アメリカ帝国主義の思想ーー政権への影響力

こ の研究所の設立趣意書には、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ウォルフォビッツ国防副長官、ロドマン国防次官補、リビー副大統領首席補佐官、 カリルザード・アフガン担当大統領補佐官、アブラムズ国家安全保障会議部長、ドブリアンスキー国務次官などのブッシュ政権幹部が賛同しており、「悪の枢 軸」発言などの政権の方針に大きな影響を与えていることは、疑いない。その他にも、ジェブ・ブッシュ・フロリダ州知事(大統領の実弟)、クエール元副大統 領、フランシス・フクヤマ、ローゼーン・ハーバード大教授、コーヘーン・ジョンズホプキンズ大教授などが、名を連ねている。

  逆に言えば、現政権の方針は、従来の良識からすれば信じがたいものであり、このような思想的背景を知って初めて理解できるものなのである。これは、もちろ ん、「帝国主義」思想に他ならない。ローマ帝国が「パックス・ロマーナ」を実現したように、また大英帝国が「パックス・ブリタニカ」を実現したように、今 やアメリカは「パックス・アメリカーナ」を実現すべきだとする。

  上のインタビューにいう、政権内の「現実主義者」とは、たとえばパウエル国務長官のことであろう。帝国主義者は、権力均衡論を意識する現実主義者を批判す る。要は、他の国家の言うことなど気にせずに、帝国に歯向かう国家は、攻撃すべきだということである。思想的に帝国主義を信奉しているからこそ、イラク先 制攻撃のような暴挙を敢えて公言することができるのである。

 この研究所の同調者、そしてその影響下にあるブッシュ現政権要人ーー彼らは、正に言葉通りの「(アメリカ世界)帝国主義者」なのである。

 ■12.文明論的帝国主義論ーーアメリカ原理主義の軍事的強制

 左翼的な帝国主義論は、経済的支配をその根源とみなし、たとえば「リベラル」で国際的協力を行う場合でも、アメリカを「帝国主義」と見倣す。私自身は、この用法とは一線を画し、以上のような思想を政策にまで反映させた現政権について、「アメリカ帝国主義」と呼ぶ。

  この「帝国」観念は、アイゼンシュタットのような文明論的観念を背景にしているから、これを「文明論的帝国主義論」と呼ぶことができよう。ローマ帝国・中 華帝国のような「帝国」の理論である。多くの場合、このような「歴史的帝国」は、軍事力を背景にしながら、思想的にも「普遍主義的思想」を正統思想として 制度化し、時に軍事力で強制する。

  アメリカ帝国の場合、上の記事にある「自由、人権、民主主義、資本主義」がその「普遍主義的」な正統思想であり、この「原理原則」を力によって世界に強制 しようとするのである。いわば、これらの「原理原則」は「アメリカ原理」であり、それを世界に強制しようとする点において、これは「アメリカ原理主義」で あり、かつ「アメリカ帝国主義」である。歴史的な帝国主義は、「官僚制的帝国」(アイゼンシュタット)が多かったが、アメリカ帝国主義は、いわば「民主制 的(リベラル、資本主義的)帝国主義」ということができるであろう。

  この観点から見れば、グローリゼーションとは、アメリカ帝国主義の経済的表現であり、その第1段階であった。グローバリゼーションも含めたアメリカの覇権 に対して、イスラーム過激派が暴力により抵抗し、それに激昂したアメリカは、軍事的帝国主義の段階に入ったのである。いわゆる「帝国」は、経済はもちろ ん、政治的にも、文化的にも、覇権を握り、その覇権は最終的には軍事的に担保される。アメリカ帝国の経済的原理は、いわゆる「新自由主義」によるグローバ ルな資本主義であり、その文化的・政治的原理は民主主義や人権である。

■13.新帝国主義論ーー「皇帝」による帝国法の形成

  帝国と呼ぶからと言って、アメリカを史上の野蛮な帝国と同一視しようというのではない。歴史上の多くの帝国に比して、民主主義や人権を擁護するという点で は、理性的・人道的な要素の比較的強い帝国であると言うことができるかもしれない。その意味では、「民主制的帝国」とは、「官僚主義的帝国」とは異なった 「新帝国主義」であると言えよう。文明論的帝国主義論は、マルクス主義的帝国主義論とは異なって、各種帝国の文化的側面をも重視し、帝国であるからと言っ て、一刀両断に批判することはしない。その意味においても、文明論的帝国主義論は、「新帝国主義論」と言うことができる。

 つまり、アメリカ帝国主義は、民主制的帝国主義であるという点において、「新帝国主義」であり、それを把握する文明論的帝国主義論も、「新帝国主義論」なのである。

  帝国主義の観念は、分析的概念であるが故に、即価値的に「悪」を意味するものではなく、ーーちょうど恩顧主義論の場合と同じようにーー帝国の中でも相対的 に「良い帝国」と「悪しき帝国」とを区別できるであろう。アメリカの民主制的帝国は、民主制や人権の観念を有している分、歴史的帝国と比べれば、相対的に は「より良い(ましな)帝国」であろう。しかし、この「新帝国主義」も、また一つの「帝国」であることは疑いない。

  様々な国際協定をアメリカが一方的に破棄したり、妨害したりするのは、アメリカが帝国主義に傾いてきているからである。「単独行動主義」という用語は、も はや婉曲的に過ぎよう。気に入らない国際条約を一方的に破棄するのは、帝国主義者にとっては当たり前である。帝国は、世界秩序を自らの意のままに形成しよ うとする。

  帝国の法は、諸国の合意によって決めるのではなく、「皇帝」が決めるのである。アメリカは、単に「単独行動主義」を取っているのではない。それは、「世界 帝国」を確立しようとしているのであり、「単独行動主義」による既存の世界秩序の破壊は、世界帝国確立への序曲なのである。

 今日、温暖化防止の京都議定書を退けて、産業界の「自主的努力」による独自の「温室効果ガス削減計画」(!)を公表した(15日)のも、このような観点からは容易に理解できる。温室効果ガスの総量を規制するものではなく、目標が達成されても、12年には90年に比してガス排出量は30%も増えることになるという(京都議定書では、日本6%減、EU8%減)。「汚染企業へのバレンタインデープレゼントだ」(世界自然保護基金)「全く意味のない目標だ」(リーバーマン民主党上院議員)という言葉で、評価は言い尽くされている(朝日、15日夕刊)。

  しかし、合意が殆どできていた京都議定書を斥けて、自らの都合の良い「政策」を世界に提示するのは、帝国主義者にとっては当たり前である。帝国の法を決め るのは、「皇帝」の専権事項であるからである。このような発想に基づいて、キューバのグアンタナモ米海軍基地のアルカイダ兵らを戦争捕虜と認めずに、「非 合法戦闘員」などという曖昧な位置づけにしようとしたのであった。人権団体や国際社会の批判を浴びてタリバン兵にはジュネーブ条約を適用することにしたも のの、アルカイダ兵には認めず、依然として双方とも戦争捕虜とは認めない、としている(7日)。このため、人権団体に批判を浴びているが、ラムズフェルド 国防長官はジュネーブ条約はテロを予期していないから時代遅れであると強弁している(資料16)。

  このように国際法を無視する態度は、同時多発テロ事件以後繰り返し現れてきており、自衛権に基づく戦争という論理自体がその典型であった。要するに、帝国 は、自らを制約する国際法などは認めたくはなく、都合に応じて適宜変更しうるものと見做しているのである。帝国「皇帝」は、自ら法を制定するが故に、他国 の意思には制約されない、というのが率直な論理であろう。

 このような「単独行動主義」的態度を見て連想するのは、ジョージ・オーウェル『動物農場』における、革命後の支配者・豚のナポレオンの有名な文句である。「全ての動物は平等である。しかし、他の動物よりも、より平等な動物もある(All animals are equal but some animals are more equal than others.)

 例 えば、他国は京都議定書を遵守しても、アメリカは京都議定書を守る必要はなく、自らの「計画」を示すだけでよいのである(資料22「議定書と二重構造 に?」参照)。ジュネーブ条約にもアメリカは拘束されず、アメリカを攻撃したアルカイダ兵らをーーその人権など顧慮することなくーー随意に取り扱ってよ い。

  もっとも、これは第1歩に過ぎないかもしれない。未臨界核実験の場合などでは、包括的核実験禁止条約を死文化させ、核兵器に回帰しようとするものであり、 核不拡散体制を崩壊させる。つまり、アメリカ一国だけではなく、世界全体の安全保障体制を全面的に変化させてしまうのである。この場合は、アメリカだけが 拘束されないのではなく、アメリカの意思に合わせて世界の法的秩序を変えてしまうことになる。国際法とは、今後は、帝国「皇帝」が定めるものであり、いわ ば「帝国法」となるべきである、ということになる。

  歴史上の帝国は、いずれも大陸規模の帝国であった。しかし、アメリカ帝国は、大陸を越え、世界全体に亘る帝国、すなわち「世界帝国」たろうとしているよう である。父親のブッシュ大統領は、「世界新秩序」という観念を謳いあげた。子のブッシュ政権で、この観念は蘇り、その内実はアメリカ世界帝国という「帝国 主義的世界新秩序」であることが明らかになったようである

■14.アメリカ帝国主義的覇権戦争ーー帝国主義的世界新秩序へ

 上述した戦争の論理の転換は、この点を浮き彫りにしている。反テロの論理だけならば、必ずしも帝国主義国ではなくとも、理解・支持が可能であるが故に、ヨーロッパをはじめ世界の諸国は、これを支持した。また、アメリカの「自衛戦争」という論理も、承諾したのである。

  しかし、イランはもちろん、イラクや北朝鮮ですら、テロとは直接関係が見つかっておらず、またアメリカを攻撃する予兆もない。したがって、「悪の枢軸」に 対する攻撃は、「テロ」攻撃に対する自衛戦争ではありえない。アメリカ帝国に服従しない小癪な国家に対して、先制攻撃を加えて軍事的に壊滅させようとする 戦争は、「帝国主義戦争」としか呼びようがない。これらの「悪の枢軸」諸国を壊滅させれば、世界にはアメリカに反抗する国家は、存在し得ないであろう。こ れが、この背後にある論理であろう。したがって、この戦争は、アメリカ帝国が世界帝国としての確立を目指す「アメリカ世界帝国主義覇権戦争」なのである。

  反「テロ」世界戦争という呼称は、上述のように、「世界戦争」というアメリカの自意識を捉えていた点において、正確なものであることが明らかになった。し かし、「 」を付して留保したとは言え、反テロというアメリカの「大義名分」を用いざるを得なかった点において、なお釈然としないものがあった。

  「悪の枢軸」演説において、初めてこの戦争の本質が可視的なものになったと言えよう。この戦争の本質は、「反テロ」にあるのでなく、「テロ」を契機とし て、アメリカが世界帝国として自らを確立しようとするところにあるのである。その意味では、アメリカ政府自身の意図に即して定義すれば、「アメリカ世界帝 国確立戦争」であり、批判的に述べれば、「アメリカ世界帝国主義覇権戦争」、略して「米帝世界戦争」である。

15.アメリカ世界帝国主義論ーーエンロン疑惑と地球的公共悪

  私自身、同時多発テロ事件以前には、ブッシュ政権には批判的ではあっても、それに帝国主義概念を適用しようとは全く考えていなかった。しかし、今や、帝国 主義論を再び真剣に考えなければならないようになりつつあるようである。いわば、「アメリカ世界帝国主義論」とでも言えようか。

  マルクス主義的帝国主義論は、現在では用いることはできない。しかし、文明論的に見て、「帝国」は史上に繰り返し現れてくる現象であるが故に、今日でもな おその可能性を無視し得ない。そして、帝国は、いかに「正義」の存在を自称しても、「皇帝」の恣意による法や政策を強制力により強行する限り、それが地球 的公益と合致する保証は全くない。否、それが合致するのは稀な「名君」の時に限られる。むしろ、地球的公益に反して、帝国支配層の私的利益を強行しようと することが大部分であるが故に、帝国は地球的公共哲学の観点から批判的に考察される必要があるのである。

  エンロン疑惑から、新自由主義的な電力の「自由化」政策が実は企業の私的利益を確保するためのものであり、政治家に対するエンロンの資金の献金=ばらまき によって推進されたものであることが明らかになりつつある。この結果、エンロンの電力売り惜しみによって、カリフォルニア州の電力危機が生じたのであった (4)。つまり、恩顧主義的政治によって、電力という最も公共的な財が供給不足に陥ったのである。恩顧主義的私的利益が公益を損なうという、典型的な例で ある。ブッシュ政権が、市民団体や米会計検査院に対して情報開示を拒んで、これらに告訴される(資料21)のも、この真実を知られたくないからであろう。

  かくて、帝国の経済思想たる新自由主義はエンロン疑惑と共に失墜しつつある(5)。この事件に象徴されているように、この帝国建設の支配層が私的利益に蚕 食されている状況証拠は数多く、京都議定書問題に見られるように、彼らが地球的公益を真剣に考慮しているという気配は全くといってよいほど感じられない。 それどころか、エンロン疑惑から逃れるためにも、テロの危険を言い立てたり、対イラク攻撃の可能性を言明したりしている節が見え隠れしている。

  エンロン事件は、カリフォルニア州の電力供給不足という地域的な被害を生んだのであるが、反「テロ」世界戦争は、正に世界的に多くの人命そのものを奪う。 これは、私的利益のための「地球的公共悪」そのものである。それ故にこそ、この帝国建設と世界帝国主義戦争には反対の声を挙げざるを得ないのである。

■16.21世紀の世界帝国主義ーー新植民地化

 20世紀の帝国主義の時代に、典型的な帝国主義戦争を行ったのは、イギリスやフランスであり、それに対抗しようとした後発帝国主義がドイツや日本であり、その間の衝突が両次の世界大戦であった。

  私はこれまで帝国主義の時代は終わったと思っていたのだが、今回の戦争はこの認識を覆すものであった。21世紀において、グローバリゼーションという形で の経済的覇権だけではなく、政治的・軍事的覇権も含んだ「アメリカ世界帝国主義」の危険が立ち現れてきたからである。現時点では、これは、批判的認識とし て現れてきているというよりも、それよりも早く、帝国建設者の積極的・肯定的認識として展開しており、思想的に拡大しているだけではなく、政権の原理と なっている。それだけに、事態は深刻であり、この小文は、その事態に批判的・学問的認識が追いつくための些やかな努力でしかない。

  21世紀の帝国主義の行方は、19-20世紀の帝国主義の歴史から考察することができよう。かつての帝国主義においては、当初、英仏の帝国は、世界各地の 王国や政権を転覆し、直接的ないし間接的な植民地化を進めた。その過程で、激戦や英仏側の犠牲もあったが、もちろん、現地人の犠牲とは比較にならず、その ような犠牲を乗り越えて、植民地化は進んでいった。植民地においては、帝国に協力する人々もいたし、間接植民地においては傀儡政権も作られた。それは、相 対としては残酷な支配でありながら、完全に非人道的であったのではない。帝国主義の時代にあっても、現地に行って福音を真剣に述べ伝えようとする宣教師も いたのである。

  ある意味では、アフガニスタンで見ることのできるのは、このような過程である。ある推計によると、12月6日時点で3767人、1月24日までで既に 3850ー3900人である。一方、アメリカの同時多発テロの犠牲者数は、約5000人という当初の見積もりよりも少ないことが明らかになっており、 3225人である(12月6日)。従って、私が繰り返し警告したように、アフガニスタンの無辜の犠牲者数は、やはり同時多発テロの犠牲者数を超えてしまっ たことになる(資料20参照)。かくて、アメリカの頭上にもはや「道義」はない。

 しかし、このような無辜の民の犠牲はものともせずに、歴史は進む。アフガン復興会議も、このような観点から見れば、傀儡政権の樹立と見ることもできよう。そこには、善意も確かに存在する。帝国主義時代における宣教師のように。

  アフガン戦争ないしアフガン戦線は、このような意味における帝国主義的戦争であり、「新植民地化」ーーあるいは「再植民地化」--を帰結したかもしれな い。同様に、イラク戦争などの中東戦争や、朝鮮戦争も、同様の帝国主義的戦争であり、やはり同様の「新植民地化」を帰結するかもしれない。

  これは、決して穿った見方とは言い切れない。注(3)の田中宇氏の文章によれば、ウォールストリート・ジャーナルでもア、「テロリズム対策の決定打は植民 地主義」(ポール・ジョンソン)であるというような論説が掲載されており、かつて海賊を根絶するために(その拠点となっていた)北アフリカ(仏)やイエメ ン(英)を植民地にしたように、テロリストを根絶するために、アフガニスタン・イラク・イラン・シリア・スーダンなどは再び植民地にすべきだ、と論じられ ているからである。

  10月中旬にアメリカの新聞「シカゴ・サン・タイムス」に載った「帝国主義こそ解決策」という論説では、直接統治に戻す行為を「新植民地主義」と赤裸々に 呼ぶことに抵抗があるなら、クリントンやブレアの得意技だった呼び名だけ美しく飾る手法をまねて「国際社会による支援策」などという名前をつけてやればい い、と結論づけているという

  アフガン復興会議は、正にこのような「支援」会議であった。これも、アメリカの右派系の論客からは「新植民地化のための会議」と認識されているかもしれな い。そして、例えば「テロリストの隠れ家は敵と見倣す」とか「イランが武器をパレスチナに供給したりアルカイダやタリバーン兵がイランに逃げ込んだから、 イランをも攻撃対象に含める」という論理は、正に「海賊を根絶するために植民地にする」という倫理そのものである。

 右 派系の論理は、客観的な認識とは言えないかもしれない。しかし、新植民地主義という見方が批判的な見解としてではなく、肯定的な見解として唱導されている ことは、客観的たるべき社会科学にとって重要な示唆を与えてくれよう。これは、アメリカ当局者の自己認識に近いのであり、彼らは主観的な自己認識において すら「帝国主義者」なのである。

17.帝国主義戦争と世界大戦の危険

 イラク攻撃のような暴挙は、ことによると、経済の破綻や内政上の問題・軍事的疲弊をもたらし、帝国主義の野望は砕かれるかもしれない。しかし、無情にもアメリカ帝国が確立し、世界の覇権を握り続ける可能性も存在するだろう。

 しかし、だからと言って、これで戦乱が収まるとは限らない。20世紀の帝国主義においては、もっとも深刻な戦争は、帝国主義諸国間で起こった。この観点から見れば、植民地化の過程でおきる戦争は、いわば小競り合いに過ぎない。

 アフガン戦線がこのような小競り合いとして記録される可能性も存在しよう。フィリピン戦線は、ある意味では、アメリカ帝国主義戦争にとって象徴的である。

  かつて英仏が世界的帝国を作っていたのに対して、イギリスから独立したアメリカは相対的には、このような「旧世界」から離れ、モンロー主義のような孤立主 義的路線を長く取っていた。その結果、「旧世界」の汚染から免れ、後に理想主義的なウィルソン外交などの、進歩的・革新的役割を世界史において担えたわけ である。

  このような中で、アメリカが帝国主義的行為に走り植民地化を行った例がフィリピンである。そのフィリピンで、今度は「世界帝国主義戦争」の第2段階を行 う。この歴史から見て、フィリピンは、アメリカが帝国主義戦争を始めるのに、極めて「適切」な場所である。同時に、これは、アメリカの役割の変質をも物語 る。かつては旧世界の「帝国主義」から距離を置き、相対的に汚染されていなったアメリカが、今や「新帝国主義」の中心となっているのである。もはや、アメ リカに歴史の進歩を担う勢力としての栄光はない。逆に、「旧帝国主義国家」たる欧州諸国の方が、その新帝国主義に批判的であり、植民地解放や民族自決とい う歴史的潮流の後退に対して抗っているのである。

  フィリピンでは、アフガニスタンの場合よりも小さな小競り合いが起こるだけだろう。反政府ゲリラとの戦いであって、タリバーンのような、政権との戦いでは ないからである。しかし、20世紀の帝国主義時代のように、小競り合いの先には、大きな戦乱が待っているかもしれない。イラク戦線や、パレスチナ戦線は、 イスラーム文明の再結集化をもたらし、「文明の衝突」を招くかもしれない。あるいは、現在はアメリカに協力的なロシアや中国が、それぞれの領域ないし文明 内部で「小帝国」を作り、アメリカ帝国に挑戦することもあるかもしれない。また、これらの文明の間で合従連衡や戦闘が行われることもあるかもしれない。

 現在のインドーパキスタンの緊張関係は、このような文明間の衝突の「先駆的」例なのかもしれない。この紛争ですら、核兵器が行使される危険が存在する。まして、これらの本格的な「文明間衝突」に於いてをや。ここにこそ、世界大戦の危険が現れる。

■18.帝国への随従国家からの離脱ーー再び旗を見せることなかれ

  アメリカが当初示唆していた大量報復作戦を避け、パウエル国務長官らの慎重な外交的・軍事的戦略を取ったためもあって、アフガニスタン戦線は、ベトナム戦 争化への道を辿らず、ーービンラディン氏やオマル師の行方を別にすればーー成功裏に終わったかのようである。しかし、パレスチナに火は燃え上がり、アフガ ンの無辜の犠牲者は同時多発テロの犠牲者を超え、そして既に米軍はフィリピンへと赴き、イラク攻撃への構えを見せている。イラクを攻撃すれば、再び無辜の 民が数多く死ぬことは、火を見るよりも明らかである。私が時論で懸念した危険は、ほとんど的中しつつある。

  しかも、前述したアメリカ帝国主義者は、「最近、欧州諸国の対米協力を取り付けることがますます難しくなってきた。この点、日本の対テロ戦での協力は前向 きだ。欧州も日本のように成熟してほしい。」などと語っていた。日本は、欧州以上に従順な「随従国家」であり、「アメリカ帝国」の子分国家だからである。 アメリカ帝国建設者としては、欧州も始め、他国の全てを日本のような随従国家にしたいのである。

 このような目的を達するために、アメリカは再び日本に「旗を見せよ」と迫るかもしれない。その時、日本はどうするのだろうか?

  これに応えるような形で、日本は有事法制を制定しようとしており、アメリカ帝国の戦争、特に朝鮮戦争にも「旗」を振って参戦しかねない。そして、同時に経 済には破綻の予兆が見える。日本経済の破綻が現実化すれば、世界経済の破綻にも繋がりかねない。期待を託すに足る政治家・政党がごく少ない以上、その時、 日本政治は混乱の極みとなろう。世界にせよ、日本にせよ、「おお神よ!」と天を仰ぎ見たい気持ちにもなるであろう。

 こ のような陰鬱な近未来を避けたければ、恩顧主義的政治経済から脱却して、平和への意思を確立し、アメリカ帝国主義者の野望を砕く他ない。もっとも重要なの は、イラク攻撃などの戦乱の拡大に反対の声を上げて、アメリカの意気を殺ぐことである。現在、ロシアや中国はもちろん、欧州などアメリカの友好国も殆ど一 様に「悪の枢軸」発言を批判し始めている。ここで、国際的に一斉にアメリカの姿勢を批判し、アメリカを孤立させて始めて、イラク攻撃という野望を諦めさせ ることができるであろう。
 日本も、諸国と共に声を上げることが求められているのである。ゆめ再び「旗を見せる」ことなかれ!

19.外相辞任後の日本政治ーー内外恩顧主義からの脱却

それにもかかわらず、日本の当局者から「悪の枢軸」発言を批判する声が聞かれないのは、情けない限りである。首相や新外相は、どのように考えているのだろうか?

  緒方女史は、賢明にも外相を辞退し、「いちじくの葉」となることを避けた。代わりの川口新外相は、「骨太の改革」をするとしているが、問題は、外務省の家 産官僚的体質を改革することができるかどうかという一点にある。省の内外における恩顧主義的体質の改革であり、政策的にはアメリカに随従する恩顧主義的外 交の改革である。

  外務官僚にまず改革案を聞くような姿勢では、その見通しは暗いと見るべきであろう。もっとも、その「骨太の改革」の中で「政治家の圧力の排除」(および 「民間人起用」)には、実現できれば意味があろう。ところが、その微温的改革にさえ、政治家の意見の文書化・情報開示という「透明化」に対して、各種族議 員から反対の声が上がっている。

  他方、田中外相解任による支持率低下を受けて、首相が取った方策は何だったろうか? それは、外務省の恩顧主義的体質の抜本改革でもなく、道路改革でもな く、来年4月からサラリーマンの本人負担を3割に引き上げるという医療制度改革の断行である。これに抵抗しているのが、厚生族の族議員なので、首相は「改 革」政治の断行であるとしているが、その「改革」が国民への負担=痛みの押し付けでしかないことは一層明らかになった。

 道 路公団などの無駄で「私的」な「公共」事業の削減・改革こそ、恩顧主義政治構造改革の試金石である。この問題を回避して、医療「改革」で、見せ掛けの「改 革」のポーズを保とうとしているのであろう。橋本元首相以下の族議員は、医療制度の抜本改革なしに3割への引き上げを行ってしまうと、財政的には問題がな くなるので、かえって抜本改革が不可能になってしまい、国民に負担を押し付ける結果になってしまう、と反対している。

妙 なことに、外相解任時に政府の経済政策を批判した亀井氏の場合と同様に、恩顧主義的ないわゆる「抵抗勢力」の方が、これらの点については正論を述べている のである。結局のところ、今回の医療「改革」は、政権の「改革」姿勢を印象付け、その変節を取り繕うための政権延命策に過ぎない。しかし、これによって被 害を受けるのは国民なのである。欺かれることなかれ!

  そして、ブッシュ大統領の訪日に合わせたデフレ対策。これは、当局の意思統一ができていないのみならず、既に手遅れの感がある。ここまで経済状況の悪化を 放置してきたのは、橋本政権の場合と同じように、新自由主義的経済政策の責任であり、その責任者たる竹中大臣、そして究極的には首相は経済悪化の責任を 取って辞任しなければならない。公共的観点からの経済運営が求められているのである。

  政治・行政に期待することができなければ、民衆が自ら反戦平和の声を、そして恩顧主義的政治の改革への声を上げるしかあるまい。そして、世界の民衆と力を 合わせて、反戦平和の声を上げ、帝国主義化を阻止するほかあるまい。帝国への随従国家からの脱皮が求められているのであり、このために必要なのは、国内の 恩顧主義的政治、そして内外2重の恩顧主義的政治からの脱却なのである。

■20.イスラエルの占領地軍務拒否ーー万国の公共民よ、平和のために連帯せよ!

 日 本は、アメリカ帝国に随従する子分国家である。これは、ーーローマ帝国の植民市に見られたようなーー帝国に対する付加型国際的恩顧主義(帝国という中心的 秩序に付加される恩顧主義)と言えよう。日本がアメリカにひたすら従順な子分国家であるのに対して、イスラエルは親分たるアメリカを戦争へと向かわせよう とする獰猛な子分国家である。

 しかし、そのイスラエルの中からさえ、勇気のある抵抗運動が始まった。軍の予備役兵士の間で1月下旬に50人が新聞に「拒否の手紙」を発表し、第3次中東戦争での占領地(ヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレム)での軍務を拒否したのである(資料14・15)。占領地での自治区封鎖や住居破壊、検問などが、パレスチナ人の抑圧であり、本来の国防とは関係がなく、違法だからである。

  「…その結果、検問で病人が死んだり、妊婦が検問で出産し、新生児が死ぬような悲劇が度々起こっている。占領によって、我々はパレスチナ人全体を封じ込 め、移動の自由を禁じることで職を奪い、病院や学校に行く権利を侵害している。彼らは不満や怒り、憎悪を募らせ、イスラエルに対する自爆テロのような救い のない行為に走る。

 私は国を守る任務なら喜んで軍務につく。しかし、占領はそれ自体が非人道的な行為だ。社会経験を積み、世界のこともわかってくると、占領地で軍務を果たすのは人間として耐えられなくなった。パレスチナ人への抑圧がさらなる暴力を生む。占領の任務は国防にはあたらない。

 …軍でのキャリアを放棄しようというのは簡単な決断ではないが、『拒否の手紙』に署名したのは、軍の刑務所に入れられようとも、占領地には行かないという意思表示だ。」(軍務拒否したヘブライ大講師ハイム・ワイス氏 32歳、朝日、26日、資料14の隣)

 パレスチナ人の悲惨に目を瞑ることのできなかった、このような行動には、人種や宗教を超えた真の人道的な精神が輝き、人の心を打つ。このような運動は、人間の良心の証であり、このような反対の声が人種や民族を超えて広がるところに、人類の希望がある。

 アメリカ国内でも、さすがに「悪の枢軸」発言には徐々に異論が現れ始めているとは言え、イラク攻撃支持が77%もある状態(資料6)では、国内での批判には攻撃の抑止を望み得ない。そこで、国際的批判こそ、中東への戦火の拡大を防ぐ唯一の道である。

  核不拡散体制を崩壊させかねない米英の未臨界核実験は、被爆国・日本の国是たる反核平和主義・非核国家と全面的に対立する。ブッシュ政権は、国連に日本政 府が提出した核廃絶決議案にインドと共に反対票を投じたのであり、今それを核実験という形で現実化させた。核実験が核不拡散体制を崩壊させるだけではな く、アメリカ世界帝国主義戦争は、インドーパキスタンなどの紛争にも油を注ぎ、世界各地に無辜の死者を生み、さらには核戦争の危険を現実化させる。

 日本人にその公共哲学に対する信念があるのならば、勇気を持って帝国に対する随従の姿勢を脱して、反核平和への声を上げなければならない。かつての運動を担った思想の懐かしいフレーズを言い換えてみよう。

「万国の公共民よ、平和のために連帯せよ!」

           (2月15日、16日加筆)

  (1)米系メディアは、イラン保守派とレバノンのヒズボラとの結びつきや、アルカイダやタリバーンの亡命・擁護などを指摘する。仮にこれらの事実があった としても、大統領をはじめ改革派も存在する以上、その全体を「悪の枢軸」に入れてしまうのは、暴論としか言いようがない。『ニュースウィーク 日本版』220日号、「イランの危険な聖戦ゲーム」、3031ページ。

 (2)東部パクティア州では、カルザイ議長が任命したバッチャ・カーン・ザドラン新知事に対して、武力衝突、1月末に死者約60人、マザリシャリフ近辺では、ファヒーム国防相派とドスタム国防次官派との衝突、2日に死者数人など。いずれも、暫定政府に不満を持つラバニ前大統領派が反抗を支援しているという観測がある。朝日、7日。

   (3)田中宇「米英で復活する植民地主義」 20011112
http://tanakanews.com/b1114colony.htm 内容は、資料13。

 (4)田中宇「エンロンが仕掛けた「自由化」という名の金権政治 」(2月4日)
http://tanakanews.com/c0204enron.htm

    田中宇「エンロンが示したアメリカ型経済の欠陥」(2月11日)
  http://tanakanews.com/c0211enron.htm

 (5)たとえば、ニュースウィーク日本版2月20日号は、「エンロンの闇ーー疑惑の拡大で揺らいだ市場の真理」と銘打っている。

                       小林正弥

参考資料

1.一般教書演説(1月29日)。朝日夕刊(30日)より。

  米国は断固として、辛抱強く、不屈であり続ける。この戦いには二つの目的がある。ひとつは、テロリストのキャンプを壊滅させ、策謀をくじき、テロリストを 裁きにかけること。もうひとつは、生物化学兵器や核兵器を入手しようとするテロリストや政権が、米国と世界に脅威を与えるのを阻止することだ。

  アフガンの訓練キャンプは壊滅させたが、少なくとも十数カ国にまだ残っている。ハマス、ヒズボラ、イスラム聖戦、ジャイシェ・ムハマド(パキスタンの過激 派組織)などテロリストの地下世界は、ジャングルや砂漠、大都市の真ん中にも存在している。最も目に見える活動はアフガンだが、我が部隊は、フィリピン で、ボスニアで、ソマリア沖で活動している。

 パキスタンなど多くの国は呼びかけにこたえてくれたが、テロ対策に及び腰の政府もある。行動しないのなら、米国が行動する。

  二つ目の目的は、テロ支援国家が大量破壊兵器を使って米国と同盟国を脅かすのを阻止することだ。いくつかは9月11日以降おとなしくしていたが、我々はそ の本性を知っている。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は国民が飢えているのに、ミサイルと大量破壊兵器を持つ政権だ。イランはテロを輸出し、選挙で選ば れていない者が人々の自由を抑圧している。イラクは米国への敵意を誇示し、テロを支援し続けている。何十年も炭疽(たんそ)菌や神経ガス、核兵器の開発を 企ててきた。

 米国は世界で最も危険な政権が、最も破壊的な兵器を使って、我々を脅かすのを許さない。

 イラクは国際的な査察に合意しながら査察官を追い出した。何かを隠しているのだ。

 これらの国々は「悪の枢軸」だ。世界平和を脅かしテロリストに武器を与える。無関心でいれば破滅的な結果を招く。

  我々は同盟国と連携する一方、不意の攻撃に備えてミサイル防衛を構築する。すべての国は知るべきだ。米国は国家の安全のためには、あらゆる手段を講じるこ とを。我々は、危機が近づくのを座視はしない。テロとの戦いは順調に始まったが、立ち止まってはいけない。立ち止まれば、テロリストとテロ国家は野放しの ままになる。

 最優先課題は常に国家の安全でなければならない。私の予算は三つの大きな米国の目標を支えている。この戦争に勝ち、本土を守り、景気を回復することだ。

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2.米、「テロ支援体制」に照準 一般教書演説で「悪の枢軸」前面に

2002.01.31 朝日東京朝刊 4頁 政治 (全771字) 
  【ワシントン30日=杉本宏】ブッシュ米大統領は一般教書演説で、対テロ戦が転換期を迎えていると強調し、「アフガニスタン後」の第2段階の青写真を示し た。イラクなど「テロを支援する体制」に次の照準を当てたことが最大の特徴といえる。いま大量破壊兵器の拡散という「悪」に対処しないと、とりかえしのつ かない事態を招くという切迫感をあらわにしている。

 大統領は、アフガニスタンなどを舞台にした対テロ戦に勝利しつつあるとの見方を強調したものの、オサマ・ビンラディン氏について一回も言及しなかった。

 従来の主要演説とは好対照で、本来の目的だったはずの同氏の「捕そくないしは殺害」を強調すると、せっかくの「戦勝ムード」に水を差すと恐れたためと見られる。

 代わって、イラクとイラン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による大量破壊兵器の脅威を前面に押し出し、これら諸国を「悪の枢軸」と呼んで強い警告を発した。

 背景には「時間は我々の味方ではない」との認識がある。「テロとの戦いで立ち止まれば、テロリストとテロ国家は野放しになる」という厳しい見解だ。その防止には、ミサイル防衛や軍事費増、同盟国との協力など「あらゆる手段を講じる」と強調した。

  だが、大統領が問題視しているのは、こうした脅威を醸成する「体制」そのものだ。政権打倒まで抜本的解決はあり得ないという議会保守派や論客の意見と通じ る。最も厄介なのが湾岸戦争以来の「天敵」イラクだ。「内部からの政権変革は期待できない」(ラムズフェルド国防長官)とみている。イラクへの軍事攻撃の 是非をめぐる論争は、当分収まりそうにない。

ソマリアやフィリピンなどを挙げ、テロの「聖域」をなくす必要性も訴えたが、念頭にあるのは軍事や情報・取り締まりなどの「対症療法」にすぎない。貧困などテロの温床をなくす「抗体づくり」への言及はまったくなかった。

朝日新聞社

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3.ブッシュ米大統領、各国に同調要請 「悪の枢軸」3カ国に再び警告

2002.02.01 朝日東京夕刊 2頁 2総 (全393字) 

  【ワシントン31日=杉本宏】ブッシュ米大統領は31日、一般教書で大量破壊兵器の開発疑惑が持たれているイラク、イラン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝 鮮)の3カ国を「悪の枢軸」と非難したことに関連して、「各国も我われの側につく必要がある」と述べ、大統領の立場を支持するよう訴えた。フロリダ、 ジョージア両州での演説で語った。

 強気の「悪の枢軸」発言には、名指しされた3カ国が反発、韓国や欧州の同盟国からも懸念の声が出ている。

 大統領は「対アフガニスタン戦が成功したからといって、本気ではないと思っている人たちが世界にはいるが、我われにためらいはない」と強調。3カ国の名指しを避けながらも大量破壊兵器を開発している国は「品行方正にすべきだ」と再び強く警告した。

そのうえで、こうしたテロ支援国は「米国だけでなく、簡単に他国も狙うことができる」と述べ、米政府の方針を支持するよう同盟国を含む各国に求めた。

朝日新聞社

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4.米の反テロ戦争 今後の展開は (産経新聞)

外交・情報・軍事総合力で包囲網

大量破壊兵器 入手阻止図る

 【ワシントン1日=前田徹】ブッシュ大統領が一般教書で指摘した北朝鮮など“悪の枢軸国”に対する反テロ戦の戦略が、三十一日に相次いで行われたラムズフェルド国防長官やライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の演説などから徐々に明らかになりつつある。外交、情報、軍事など総合的圧力を駆使して核拡散防止条約(NPT)などを盾に包囲網を構築し、大量破壊兵器入手を阻止するというものだ。

 ブッシュ大統領の最も信頼が厚い側近であるライス補佐官は三十一日、全米保守連合会議での講演で大統領が二十九日に行った一般教書演説における“悪の枢軸国”の具体的な意味を説明した。

 それによると、「大量破壊兵器開発を進める国とテロ支援国が重なり合うという非常に悩ましい問題がある」としたうえで、それが北朝鮮、イラク、イランの三国だったと断じている。

 そして北朝鮮を選んだ理由については「世界一のミサイル輸出国であり、米国がそれを正そうと道を示したが平壌は全く応じなかった」と、北朝鮮によるミサイルとその技術拡散をあげた。

 また、イランについては、「米中枢同時テロ後、姿勢を変えたかにみえたが、地球レベルにおけるテロへの直接関与と大量破壊兵器開発への積極性は、変わらなかった」とし、イラクについては「最も危険な国であり、危険な武器入手を決意している」と説明した。

 こうした“枢軸国”への対抗手段としてライス補佐官はまず「世界、特に同盟諸国が決断力を持って対処すべきで、NPTやミサイル技術輸出入制限を強化して阻止すべきだ」と指摘し、さらに「関係改善著しいロシアとの協力が、不可欠だ」と付け加えた。

  一方、ラムズフェルド国防長官も三十一日、新国防戦略の説明の中で「二十一世紀の戦争は総合力が問われる」と前置きしたうえで、「経済力、外交力、金融 力、刑事捜査力、情報力などすべてが重要であり、単なる軍事力の優劣で勝敗は決まらない」と結論づけている。つまり大量破壊兵器入手を目指すテロ支援国に 対して「必要ならば軍事力を行使するが、国家総合力で対処する」という結論を出している。

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5.米国「悪の枢軸」演説、中東に新たな火種--イラン大統領「戦争屋的な態度」毎日

2002.02.02 東京朝刊 7頁 国際 (全1631字) 

  【エルサレム海保真人】ブッシュ米大統領の先月29日の一般教書演説で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とともに「悪の枢軸」と糾弾されたイラン、イラ クが、激しく反発している。イラン穏健派のハタミ大統領はブッシュ大統領の強硬姿勢を「戦争屋的な態度」と表現し、従来にないほど強く非難した。ブッシュ 演説はパレスチナ衝突の火がくすぶる中東に新たな油を注いでしまったようだ。

 ブッシュ大統領は一般教書演説で「イランはテロを輸出している」と述べ、力で封じ込める姿勢を示した。イスラエルが先月初めに摘発したパレスチナの武器密輸船が、イラン沖で武器を積載した疑いが強まったためとみられている。

 しかしイランは再三、この武器密輸船への関与を否定してきた。国営イラン通信によるとハタミ大統領は30日、ブッシュ演説を「無礼だ」と述べ、米の政策を「彼(ブッシュ大統領)の前任者たちよりも悪く、非現実的」だと非難した。

 ハタミ政権は断交状態が続く米国との関係改善を模索し、アフガニスタン攻撃を間接的に支援していたが、この雪解けムードに逆行する事態になってしまった

 一方、イラクのラマダン副大統領も30日、「ブッシュ声明はばかげている」と一しゅうし、「世界に混乱と不安定をもたらしている国々の最前線にいるのが、彼(ブッシュ大統領)の政権だ」と非難を強めた。

 イランとイラクは先月27日、イラク外相がテヘランを訪問するなど関係正常化へ向けて進んでいるだけに、反米歩調を共にする可能性がある。

 ◇朝鮮半島にも悪影響

 【ソウル澤田克己】ブッシュ大統領の一般教書演説以来、朝鮮半島情勢は混迷の度を深めつつある。北朝鮮が強く反発し米朝対話の早期再開は難しくなった。韓国政府は「南北対話にも悪影響を与えるのは必至だ」(統一省当局者)と頭を抱えている。

 北朝鮮外務省スポークスマンは先月31日、「我が国に対する宣戦布告と変わらない」と演説に反発する声明を発表した。北朝鮮としてはかなり素早い反応で、衝撃の強さを物語っている。

 声明は「(北朝鮮を)圧殺しようとする米国の無謀な軍事的たくらみを絶対に許さない」と主張する一方、ブッシュ大統領に対する個人攻撃は慎重に避けている。米国が柔軟姿勢を取れば、応える用意があるという立場を示唆する文言も入った。

 北朝鮮情勢に詳しい外交筋は「真正面から対立することへの恐怖感と、交渉しても譲歩を迫られるだけになりかねないという不安があるのではないか」との見方を示した。

  一方、韓国にとっては金大中(キムデジュン)大統領が先月14日の年頭会見で「北韓(北朝鮮)の体面を立ててやるよう考える姿勢が必要ではないか」と要望 したのを、ブッシュ大統領に無視された形。金大統領には大きな打撃で、訪米中の韓昇洙(ハンスンス)外交通商相らを通じて米国の真意を把握しようと急いで いる。

 ◇「新封じ込め」政策の時代に

 【ワシントン布施広】ブッシュ大統領は31日、北朝鮮、イラン、イラクに対する事実上の国際包囲網を提唱し、「イラン・イラク二重封じ込め」政策を1度は見直した米外交は、3国を対象とする「新たな封じ込め」政策の時代に入った。

 大統領とラムズフェルド国防長官、ライス大統領補佐官は同日、一斉に講演を行い、大量破壊兵器の開発国に強い警戒感を表明した。極めつけはライス補佐官が北朝鮮を「世界一の弾道ミサイルの商人」と非難したことだった。

 ブッシュ大統領は2月中旬から日本、韓国、中国を歴訪する。これを前に1月25日に開かれた日米韓の政策調整会合は、北朝鮮との対話の必要性を確認していた。ブッシュ政権幹部の発言は、日米韓の協調路線の形がい化さえ感じさせる。

 対イラン関係では、クリントン前政権が二重封じ込めを見直し、イラクの一極封じ込めに移行。ブッシュ政権も英国を介しイランとの関係改善を模索していた。手のひらを返した対イラン政策に、ユニラテラリズム(一方的外交)批判の再燃は避けられない。

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6.[東論西談]米大統領の一般教書演説 議論呼ぶ「悪の枢軸」発言

2002.02.04 東京朝刊 毎日 7頁 国際 (全1178字) 

 18回目の書き直し原稿がスピーチライターから届いたのは4日前だった。ブッシュ米大統領は練習を繰り返して議会に乗り込んだ。戦争中の一般教書は関心が高く、全米で5200万人がテレビを見た。キーワードは三つある。

 世界的に論議を呼んでいるのが「悪の枢軸」だ。大量破壊兵器を持とうとする朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、イラン、イラクの3点セット。

 第二次大戦で戦った日系のダニエル・イノウエ上院議員はいう。「私が知っている枢軸とは第二次大戦のドイツ、イタリア、日本だ。若いころのまさに悪の枢軸だった。大統領も同じ文脈で使ったのだろう」

  枢軸は昔の歴史用語ではない。大戦戦勝国の米国では、平和や自由の破壊者というマイナスの強いイメージを伴う。あえて持ち出した狙いは、戦争目的の拡大あ るいは転換にある。これまでのアフガン攻撃は「9・11戦争」だった。同時多発テロへの直接反撃としてテロ組織アルカイダやテロを保護するタリバンをつぶ そうとした

  3カ国はアルカイダと無関係だ。大量破壊兵器開発は9・11以前にすでに存在していた問題だ。ブッシュ氏は9月10日の世界に戻って、敵を選び出した。戦 時体制の維持は政府への求心力につながる。「米国は必要なことは何でもする」と述べたのは、先制攻撃の示唆とさえ読める。これは「対テロ戦争」ではない。 別の「大量破壊兵器疑惑戦争」を警告している。

  保守派には評判がいい。「本物の危険が何かを明確にした。このブッシュドクトリンは(1)地球規模の指導力(2)政権の取り換え(3)自由民主主義の推進 ――からなる。冷戦後の世界における米国の役割を初めて理解した」。ゲリー・シュミット「新しいアメリカの世紀」理事長は手放しだった。

 第二のキーワードは悪の枢軸にも使われた「悪」。数えたら5回出てきた。単なる悪ではなく、邪悪、罪悪、絶対悪といった語感がある。キリスト教の悪魔ともつながる。このことばを使う時は発言者の正義や善が前提となるはずだ。

 第三は「価値」だろう。自由や正義から法の支配、宗教の寛容まで並べ「あらゆる場所のすべての人にとって正しいことだ」と述べた。米国の価値すなわち世界の普遍性、の論理だ。

 「米国価値研究所」のマギー・ギャラガーさんは「人類共通の価値を米国は発見した。世界が同意するかはわからないが、米国人ならよくわかる。アフガン人も解放されてあんなに喜んでいたじゃないの」。

  大統領はテロ後の国民の団結を称賛しこう断言した。「多くの人々は悲劇の中で発見した。神は近い、と」。米国の政治指導者はしばしば神を引用する。だから この表現も「よくあることではないが、珍しいとはいえない」(シュミット氏)。とはいえ、宗教の情熱と、米国の価値を世界に広げる使命感とが重なるのか、 区別されているのか、そこが気になる。<ワシントン・中井良則>

毎日新聞社

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7.イラク攻撃、支持が77%--米国

2002.02.06 東京朝刊 7頁 国際 (全160字) 

  米紙ロサンゼルス・タイムズは5日、ブッシュ米大統領が「悪の枢軸」と批判したイラクに対する軍事行動を支持する米市民が77%に達したとの世論調査を発 表した。ブッシュ大統領の支持率も、昨年11月の時点に比べて6ポイント下がったものの80%と依然高水準を維持。大統領に好印象を抱いている人も78% に上った。【ロサンゼルス共同】

毎日新聞社

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8.●ロイター 北朝鮮が米を“悪の帝国”として非難、一般教書に対抗

 ●「米こそ悪の枢軸」北朝鮮が批判論評 2002 2 11

【ソ ウル11日=白川義和】ラヂオプレスが伝えた北朝鮮の朝鮮中央放送によると、労働党機関紙「労働新聞」は11日の論評で、ブッシュ米大統領が先の一般教書 演説で北朝鮮などを「悪の枢軸」と位置付けたことについて、反テロ戦争を北朝鮮などに拡大しようとする「朝鮮戦争論」だと批判し、今月19日からの米大統 領訪韓は「朝鮮戦争挑発準備状態を視察することに主な目的がある」とけん制した。

論評は、米国が「世界で最も多くの大量殺りく兵器を保有し、世界最大の武器輸出国、テロの元凶」だと非難し、「米国こそ真の悪の枢軸」として、対決姿勢を強調した。(読売新聞)

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9.米副大統領の中東歴訪は対イラク作戦の“始まり”

2002 2 7

【ワ シントン7日=林路郎】米ホワイトハウスは6日、チェイニー副大統領が来月中旬、英国とサウジアラビアなど中東10か国を歴訪することを明らかにした。米 中東政策に精通するマーティン・インディク元国務次官補は同日、本紙と会見し、歴訪は「フセイン体制転覆へのゲームの始まりだ」として、対テロ戦争第2段 階としての対イラク軍事作戦の環境整備に目的がある、との分析を明示。この分析は多くの政界筋に共通し、米国は近い将来の対イラク単独作戦も視野に入れた 路線を走り始めた。

ク リントン前政権下で駐イスラエル大使も務めたインディク元次官補は、イラクに攻撃を加える場合、その目的は大量破壊兵器関連施設の除去ではなく、「フセイ ン体制打倒以外にありえない」と断言。その理由として、〈1〉国連査察団が摘発出来なかった施設は依然、位置が確認されていない〈2〉米軍が行動を起こす 場合、サウジアラビアの支持取り付けが不可欠だが、後難を危惧(きぐ)するサウジはフセイン体制を完全転覆させる目的以外の軍事行動は支持しない――の2 点を挙げた。

元 次官補はさらに、「米軍は単独作戦を余儀なくされる可能性が高い。作戦には、地上兵力20万、戦闘機など数千の航空機を要する」と予測した。ここまで大規 模な戦力を要するのは、イラク南部のシーア派支援を口実にイランが介入したり、イラク軍が西部に展開するスカッドミサイルをイスラエルに発射する――など の事態を阻止する必要からだという。

   パウエル国務長官も6日の下院国際関係委員会の公聴会で、「大統領はフセイン体制打倒の様々な選択肢を検討している」と述べた。単独行動の可能性が強 まっているのは、イラクに対する新たな国連制裁枠組み作りに消極的なロシア、中国、フランスが米国に反発する見通しに加え、最大の同盟国・英国も賛意を表 明していないためだ。米国は同時テロの被害国であり、最も深刻なテロ脅威にさらされる国家としての防衛権を前面に押し出し、対イラク作戦を対テロ戦争の一 環と位置づけて単独でも攻撃に踏み切る気配だ。事実、中央情報局(CIA)のテネット長官は6日、「イラクはテロ組織を支援した過去があり、アル・カーイ ダとも接触を持った」と、イラクとテロの“密接な関係”を強調した。

一方、インディク元次官補は、対イラク軍事作戦の展望に絡む「最も劇的なシナリオ」として、「イラクに親米政権を樹立した後に、サウジからイラクへ湾岸駐留米軍が移動することも考えられる」と語った。

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10.北朝鮮は安保の潜在的脅威国家…米太平洋軍司令官

2002 2 7

【ソウル7日=白川義和】聯合ニュースによると、デニス・ブレア米太平洋軍司令官は7日、ソウルでの講演で「北朝鮮はミサイル拡散や麻薬取引などに介入することで、世界安保の潜在的脅威となっている国家だ」と述べた。

ブ レア司令官は「アジア太平洋地域ではアフガニスタン(旧タリバン政権)のようなテロ集団やテロ支援国はないが、北朝鮮は独特な事例だ」と指摘。米韓両国が 北朝鮮による大量破壊兵器拡散などの脅威に直面しているとする一方、「これは米韓が北朝鮮との和平を引き出し、新たな地域安保の枠組みを論議する機会にも なる」とし、対話による懸案解決の必要性を訴えた。また、今月19日からのブッシュ米大統領訪韓でも、米韓が対北朝鮮政策を緊密に協議するとし、「北朝鮮 は万一、軍事的挑発を敢行すれば失敗することを悟るはずだ」と警告した。

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11.慎重派のはずの米国務長官、単独でのイラク政権打倒示唆

  パウエル米国務長官は6日、米下院外交委員会で、イラクのフセイン政権打倒を「米国だけで行わねばならないかも知れない」と述べ、単独行動も辞さない構え を表明した。長官は「考えうる最も深刻な行動もあり得る」と、軍事行動も選択肢にあることを示唆した。対イラク攻撃に慎重とされてきたパウエル長官が対決 姿勢を明言したことで、米政府は一枚岩だとの警告をイラクに送った形だ。

 長官は、イラクが98年以来拒否している国連による大量破壊兵器査察の即時受け入れを要求。事態の打開へ向け「あらゆる行動を検討している」と述べた。ブッシュ大統領による「悪の枢軸」演説に沿って、イラクへの外交攻勢を強める方針も強調した。

  フセイン大統領はアナン国連事務総長に4日、「無条件での対話」を提案したが、長官は「(対話するとしても)査察問題に絞って短時間にとどめるべきだ」と 語り、査察を受け入れるかどうかの1点以外に交渉すべきではないとの見解を表明。6日の証言も締め付けの手を緩めない方針を確認したものだ。

  対イラク攻撃の是非については、「現代の戦争は、たとえ超大国でも多数の国の協力が必要だ」(NATO事務総長)など、最近訪米した各国要人が軒並み慎重 論を展開。だが米国は「だれかが脅威に対処せねば、やりたい放題だ」(ラムズフェルド国防長官)とイラクへの非難を強めてきた。(23:48)

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 12.以下の資料は蔡孟翰氏が提供

http://www.satirewire.com/news/jan02/axis.shtml

In Speech, Bush Calls Iraq, Iran and North Korea ‘Axis of Evil” — N.Y. Times, 1/30/02 

ANGERED BY SNUBBING, LIBYA, CHINA

SYRIA FORM AXIS OF JUST AS EVIL

Cuba, Sudan, Serbia Form Axis of Somewhat Evil; Other Nations Start Own Clubs 

Beijing (SatireWire.com) ? Bitter after being snubbed for membership in the “Axis of Evil,” Libya, China, and Syria today announced they had formed the “Axis of Just as Evil,” which they said would be way eviler than that stupid Iran-Iraq-North Korea axis President Bush warned of his State of the Union address. 

Axis of Evil members, however, immediately dismissed the new axis as having, for starters, a really dumb name. “Right. They are Just as Evil… in their dreams!” declared North Korean leader Kim Jong-il. “Everybody knows we’re the best evils… best at being evil… we’re the best.” 

Diplomats from Syria denied they were jealous over being excluded, although they conceded they did ask if they could join the Axis of Evil. 

“They told us it was full,” said Syrian President Bashar al-Assad. 

“An Axis can’t have more than three countries,” explained Iraqi President Saddam Hussein. “This is not my rule, it’s tradition. In World War II you had Germany, Italy, and Japan in the evil Axis. So you can only have three. And a secret handshake. Ours is wicked cool.” 

THE AXIS PANDEMIC 

International reaction to Bush’s Axis of Evil declaration was swift, as within minutes, France surrendered. 

Elsewhere, peer-conscious nations rushed to gain triumvirate status in what became a game of geopolitical chairs. Cuba, Sudan, and Serbia said they had formed the Axis of Somewhat Evil, forcing Somalia to join with Uganda and Myanmar in the Axis of Occasionally Evil, while Bulgaria, Indonesia and Russia established the Axis of Not So Much Evil Really As Just Generally Disagreeable. 

With the criteria suddenly expanded and all the desirable clubs filling up, Sierra Leone, El Salvador, and Rwanda applied to be called the Axis of Countries That Aren’t the Worst But Certainly Won’t Be Asked to Host the Olympics; Canada, Mexico, and Australia formed the Axis of Nations That Are Actually Quite Nice But Secretly Have Nasty Thoughts About America, while Spain, Scotland, and New Zealand established the Axis of Countries That Sometimes Ask Sheep to Wear Lipstick. 

“That’s not a threat, really, just something we like to do,” said Scottish Executive First Minister Jack McConnell. 

While wondering if the other nations of the world weren’t perhaps making fun of him, a cautious Bush granted approval for most axes, although he rejected the establishment of the Axis of Countries Whose Names End in “Guay,” accusing one of its members of filing a false application. Officials from Paraguay, Uruguay, and Chadguay denied the charges. 

Israel, meanwhile, insisted it didn’t want to join any Axis, but privately, world leaders said that’s only because no one asked them. 

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13.「米英で復活する植民地主義」 20011112日  田中 宇

   http://tanakanews.com/b1114colony.htm

 その代表は「アフガニスタンやイラク、パキスタン、サウジアラビアなど問題がある(イスラム教の)国々は、地元の人々に政治を任せていると周りに迷惑をかけるだけなので、英米が植民地支配していた状態に戻すべきだ」という主張である。

 その手の主張は最近、英米のいくつかの右派系メディアで目につくようになった。その中で最も「読みごたえ」があったのは、10月中旬にアメリカの新聞「シカゴ・サン・タイムス」に載った「帝国主義こそ解決策」という論説だ。

  この論文によると、イギリスやフランスはかつてインドやアフリカに対しては植民地として直接統治したが、その後支配した中東に対しては、より安上がりな間 接統治を行い、それは中東諸国が独立した後の今日まで続いている。地元の統治者に権力を維持させ、それを背後からコントロールするのが間接統治だが、地元 の統治者は、西欧が直接統治する場合に比べて腐敗がひどく、今日まで地元の人々に苦しみを与え続けているという。

▼欧米が中東を間接統治している

  そして論文は「地元の統治者は、エジプトのムバラク大統領に象徴されるように、自国のマスコミが自分を批判することは許さないが、マスコミがアメリカの悪 口を書くことは自分に批判の矛先を向けさせないためのガス抜きとして許している。だからアメリカがいくらエジプトを経済支援しても反米意識が強まるばかり で、間接統治は失敗した。9月11日以降、それがはっきりした以上、アメリカは帝国主義に戻り、アフガニスタンやその他の中東の反米諸国を直接統治すべき だ」と主張している。

 論文は、直接統治に戻す行為を「新植民地主義」と赤裸々に呼ぶことに抵抗があるなら、クリントンやブレアの得意技だった呼び名だけ美しく飾る手法をまねて「国際社会による支援策」などという名前をつけてやればいい、と結論づけている。

  …(中略)

▼テロリズム対策の決定打は植民地主義

 似たような主張は「ウォールストリート・ジャーナル」や「フィナンシャル・タイムス」「ガーディアン」などにも出ている。

 ウォールストリート・ジャーナルは10月9日に「テロリズム対策の決定打は植民地主義」という記事を出した。筆者はポール・ジョンソンという「ユダヤ人の歴史」などの著作で知られるイギリスの歴史学者である。

  この論文では、イスラム原理主義テロリストを19世紀の地中海の海賊にたとえている。18世紀末、北アフリカやアラビア半島などイスラム教徒の領土を拠点 にした海賊が、英仏など西欧諸国の商船を襲う事件が相次いだ。これに対し、フランスは海賊を根絶するために北アフリカを植民地にした。またイギリスはアラ ビア半島のイエメンなどを植民地にし、そこを拠点に中東を支配し、海賊や盗賊の横行を防いだ。西欧諸国にとって、植民地主義とは、商業を妨げる海賊を退治 する行為と密接に結びついたものだった。

  そう分析した後、この論文では、今回の戦争でもアメリカとその同盟国は、アフガニスタン、イラク、リビア、イラン、シリア、スーダンといったようなテロリ ストを擁護する国々を一時的に軍事占領するだけでなく、短期間で民主主義に移行できないようなら、行政的に統治する必要がある、と主張している。つまりこ こでも、欧米による、中東諸国に対する植民地支配が提唱されている。

  ところが、19世紀の世界では、西欧から見ればアラブの船は「海賊」だが、アラブから見れば西欧が「海賊」だった。海賊退治や宣教師保護(今でいう「邦人 保護」)は、西欧諸国が植民地を拡大するときに常用する大義名分だった。そういう観点を、この論文は故意に見ないようにしているように思える。

 ポール・ジョンソンは中東諸国に対する「新植民地主義」を提唱する一方で、「イスラムの教えそのものにテロリスト的な要素が含まれている」と主張する論文を、アメリカの右派メディア「ナショナル・レビュー」に書いている。

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14. 前線で反旗を翻す 軍務拒否広がるイスラエル(世界発2002)

2002.02.06 朝日、東京朝刊 6頁 2外 写図有 (全1751字) 

  イスラエル軍の予備役兵士らの間で、パレスチナ人居住地区のヨルダン川西岸とガザでの軍務を拒否する運動が広がりを見せている。1月下旬に50人が新聞に 「拒否の手紙」を発表して以来、賛同者が増え続け、5日までに170人を超えた。軍当局は危機感を深めている。国防がすべてに優先するこの国で、前線に立 つ彼らが反旗を翻したのは、なぜなのか。(エルサレム=川上泰徳)

 「占領地での軍務が、我々がはぐくんできたあらゆる価値を破壊している」。手紙はこう指摘し、1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領した領土(ヨルダン川西岸やガザ、東エルサレム)では軍務につかない、と宣言している。

 拒否者たちは、占領地での自治区封鎖や住居破壊、検問などの任務がパレスチナ人を抑圧し、人権を侵害していると指弾。さらに占領地の軍務が西岸とガザに120カ所以上あるユダヤ人入植地を警護し維持することに結びつき、「本来の国防と関係がない」と批判している。

 呼びかけ人の1人、ソフトウエア技師のダビド・ゾンシェイン中尉(28)は1カ月前にガザ自治区南部で入植地を警護する予備役の軍務を終えた。その時の経験をイスラエルの新聞に語った。

 「何かじゃまなものがあれば、司令官は機械化部隊を呼び、ブルドーザーで平たんにする。住宅の破壊は日常茶飯事だ。軍の監視所はパレスチナ側からの銃撃を受ける。そうすれば司令官は反撃と住宅破壊を命じる」

 この「拒否の手紙」はインターネットのホームページ(http://www.seruv.org)で、名前と階級、所属を書き込む形で賛同者を集めている。目標は500人。

  軍務拒否の根拠は、「命令が違法だと判断したら、従うべきではない」とする軍法の規定だ。56年にアラブ人の村で村人約50人がイスラエル兵に虐殺された 事件の軍法会議の裁定が根拠の一つになっている。軍法会議で兵士は命令に従っただけと主張したが、裁定は「命令があっても兵士は良心の声に従わねばならな い」と有罪とした。

  軍務拒否運動に、軍当局は動揺を隠せない。モファズ参謀長は軍放送で「戦時下にある民主国家で、兵士が勝手に軍務を拒否をする余地はない」と非難。軍は拒 否者を前線任務から外すことを決めたが、厳しく処罰して逆に世論を刺激するのも避けたい。処分は、現場の司令官が直々に聴取して決める、と対応に苦慮して いる様子だ。

 ○「拒否の手紙」HPの掲示板から

 「拒否の手紙」のインターネット・ホームページでだれもが意見を書き込むことができる掲示板には、これまで1300件を超える意見が出ている。主なものを紹介する。

 ▼やっとイスラエルから正常な声が出てきた。占領がユダヤ人の文化を破壊してるというのは本当だ。占領を終わらせることが暴力を終わらせ治安をもたらす。あなたたちは平和を熱望するイスラエル人とパレスチナ人にとっての希望だ。

 ▼イスラエルが占領を続けるかどうかは、国防の問題である。あなたたちは民主主義国家にいるのだから、意見は投票やデモで示すべきであり、一方的な行為は受け入れられない。このような行動は、混乱を招く。

 ▼私は賛成できない。あなたたちが立ち去った場所から、何が起こるか考えてみなさい。ヨルダン川西岸から撤退すれば、(西岸の)カルキリヤからイスラエル国内のあなたの家にミサイルが撃ち込まれるでしょう。

 ▼お前たちは国民に対する裏切り者だ。お前の好きなアラブ人が、いつかお前や家族を殺すことになるだろう。お前はユダヤ人のがんだ。

 ▼あなたたちの勇敢な行動は暴力の悪循環を断ち切るための第一歩だ。抑圧と報復はさらなる死を招く。ぜったいに屈するな。

 ■イスラエル軍の予備役 国 民皆兵で18歳から男子は3年、女性は1年9カ月の兵役があり、士官になれば、男性はさらに1年、女性は9カ月の軍務につく。その後の予備役は男性に限っ て義務で、最長45歳まで毎年30日前後、軍務につく。予備役は陸、海、空軍で、それぞれ予備役だけで部隊を組むが、正規軍とともに任務につく。正規軍が 17万2500人に対し、予備役は42万5千人(ミリタリー・バランス2000~2001から)。

 【写真説明】

ヨルダン川西岸で先月17日、パレスチナ自治区カルキリヤに入ろうとし、検問のイスラエル兵と口論するパレスチナ人=AP

朝日新聞社                   

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15.イスラエル「拒否の手紙」英訳

http://www.seruv.org.il/defaultEng.asp (英語HP)より。

We, reserve combat officers and soldiers of the Israel Defense Forces, who were raised upon the principles of Zionism, sacrifice and giving to the people of Israel and to the State of Israel, who have always served in the front lines, and who were the first to carry out any mission, light or heavy, in order to protect the State of Israel and strengthen it.

We, combat officers and soldiers who have served the State of Israel for long weeks every year, in spite of the dear cost to our personal lives, have been on reserve duty all over the Occupied Territories, and were issued commands and directives that had nothing to do with the security of our country, and that had the sole purpose of perpetuating our control over the Palestinian people. We, whose eyes have seen the bloody toll this Occupation exacts from both sides.

We, who sensed how the commands issued to us in the Territories, destroy all the values we had absorbed while growing up in this country.

We, who understand now that the price of Occupation is the loss of IDF’s human character and the corruption of the entire Israeli society.

We, who know that the Territories are not Israel, and that all settlements are bound to be evacuated in the end.

We hereby declare that we shall not continue to fight this War of the Settlements.

We shall not continue to fight beyond the 1967 borders in order to dominate, expel, starve and humiliate an entire people.

We hereby declare that we shall continue serving in the Israel Defense Forces in any mission that serves Israel’s defense.

The missions of occupation and oppression do not serve this purpose ? and we shall take no part in them. 

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16.●米英アフガン攻撃 収容のタリバン兵に、ジュネーブ条約を適用--米大統領決定

2002.02.08 毎日新聞、東京夕刊 3頁 国際 (全921字) 

 ◇「戦争捕虜」とは認めず--アルカイダには不適用

  【ワシントン佐藤千矢子】ブッシュ米大統領は7日、アフガニスタンで拘束、キューバのグアンタナモ米海軍基地に収容しているタリバン兵に対し、兵士の人道 的待遇や文民の保護を定めたジュネーブ条約を適用することを決定した。一方、テロ組織アルカイダのメンバーには同条約を適用しないことも決めた。ただ、米 政府はこれまでも収容した兵士に対して、食事や医療面など人道的配慮をしていると主張、今後の兵士らの処遇に実質的な変化はないという。

 フライシャー大統領報道官が発表した。大統領は兵士らに同条約を適用しない方針を示していたが、欧州諸国などの人権侵害批判の高まりに配慮し、タリバン兵に条約を形式的に適用することを決めたと見られる。

 アルカイダのメンバーに条約を適用しない理由について、報道官は「国際的テロ組織で、ジュネーブ条約でいう国家の部隊ではない」と述べ、紛争当事国の軍隊にあたらないことを指摘した。

  一方、タリバン兵に条約を適用するのは「米国はタリバンをアフガンの正統な政府と認めていなかったが、アフガンはジュネーブ条約の当事国だ」と語った。ま た、両組織の兵士とも、同条約で取り調べに制限がかかるなど各種権利が保障される「戦争捕虜」としての身分は認めない。

  報道官は、条約が戦争捕虜の条件として(1)軍の組織に所属(2)軍服などと認識できる着衣(3)武器の携行(4)戦争をめぐる取り決めや慣例に従った軍 事行動――の4点を規定していると指摘、タリバン兵もアルカイダのメンバーも条件を満たしていないため、「戦争捕虜と認めない」と説明した。

●米英アフガン攻撃 ジュネーブ条約のアルカイダ不適用、非難声明発表--米人権団体

2002.02.09 毎日新聞、東京朝刊 7頁 国際 (全309字) 

【ワ シントン佐藤千矢子】ブッシュ米大統領が7日、アフガニスタンで拘束したタリバン兵にジュネーブ条約を適用する一方で、アルカイダ兵に適用しないと決定し たことについて、米人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は非難声明を発表した。アルカイダ兵士の中には3人の英国人やオーストラリア人なども含 まれており、実質的な処遇や尋問終了後の裁判所選定などをめぐり、兵士らの人権問題は今後も尾を引きそうだ。

 ヒューマン・ライツ・ウオッチは、タリバン、アルカイダ兵のいずれも戦争捕虜と認めなかったことを「ジュネーブ条約で規定されている裁判を開くことなく、戦争捕虜の身分を排除するのは間違っている」と批判した。

●ラムズフェルド米国防長官、ジュネーブ条約を批判--「テロ予期せず時代遅れ」

2002.02.10 東京朝刊 6頁 国際 (全265字) 

  【ワシントン佐藤千矢子】ラムズフェルド米国防長官は8日の会見で、戦争捕虜の人道的待遇などを定めた49年のジュネーブ条約について「20世紀半ばに締 結された時は主権国家が国家紛争に対処するためのものだった。条約の枠組みは今日の『対テロ戦争』を予期していなかった」と述べ、同条約は「時代遅れ」と の認識を示唆した。

 一方で、長官は「米国は条約を強く支持している」と強調。ブッシュ大統領が7日、ウサマ・ビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」兵士らには条約を適用しないと決めたことに言及し、条約に照らして正当な判断を下したものだと主張した。

毎日新聞社

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17.●米大統領、イラク政策でいかなる可能性も排除せず

 2002 2 12

2月11日、米大統領は、イラク政策でいかなる可能性も排除しない方針という。写真は11日、バグダットに到着した国連査察団 (2002年 ロイター/FALEH KHEIBER

  [ワシントン 11日 ロイター] 米ホワイトハウスは、ブッシュ大統領がイラク、イランおよび朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する政策において 「いかなる可能性も除外していない」と述べ、ロシアが米国主導の(テロとの戦いの)計画から脱退した場合も、他の協力国を見つけることは可能だ、と示唆し た。

これに先立ち、ロシアのプーチン大統領は、米国がテロに対する国際的連合の維持を望むならば、一方的な軍事行為は取るべきでない、との見方を示していた。

ホワイトハウスのフライシャー報道官は、「大統領は米国民を守るためにすべきことに集中しており、大統領が言うように、時間はわれわれの味方ではない」と述べた。

●イラク大統領に対するあらゆる選択肢を留保する=米大統領

2002 2 14日(ロイター)

2月13日、米大統領は、イラク大統領に対するあらゆる選択肢を留保すると述べた。写真は1月バクダッドで、イラク大統領の写真を手に反米デモを行う人々 (2002年 ロイター/FALEH KHEIBER

 [ワシントン 13日 ロイター] ブッシュ米大統領は、イラクのフセイン大統領に対してあらゆる選択肢を留保するが、具体的な内容については現時点では公表しない、と述べた。

同大統領は記者団に対し、「あらゆる選択肢を留保する。内容については明らかにしない。サダム・フセイン(イラク大統領)は、私が米国を真剣に守ろうとしていることを知る必要がある」と述べた。

ブッシュ大統領は一般教書演説で、イラン・イラク・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を大量破壊兵器の開発を続け国際的テロ組織を支援する「悪の枢軸」と呼び、名指しで非難していた。

大統領は、「米国民を守るために必要であれば、必要な措置を講じる。この点を誤解してはいけない」と述べた。

パウエル国務長官は12日、イラク・イラン・北朝鮮に対しては、まず外交・政治的手段をもって対処するとの方針を表明し、現時点でフセイン大統領に対する軍事行動を起こす考えはないと述べていた。

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18.http://newsspecial.msn.co.jp/articles/snews.asp?w=117271

米国の独断行動が反テロの国際的連携を危機にさらす=イラン外相

2002 2 13

2月12日、イラン外相は国際フォーラムで、米国の独断行動が反テロの国際的連携を危機にさらすと述べた。写真は同フォーラムのもよう (2002年 ロイター/Mustafa Ozer

 [イスタンブール 12日 ロイター] イラン政府は、米国が独断で行動し、軍事力行使の脅威を用いることによって、「反テロ戦争」のために結集した国際社会からの支持が崩壊の危険にさらされている、として警告を発した。

 イランのハラジ外相は、イスラム諸国会議機構(OIC)・欧州連合(EU)共同フォーラムで、国際社会の総意は、昨年9月11日に発生した対米同時多発テロ後に形成された、と述べた。

 また、同外相は、「残念ながら、米国政府から最近聞こえてくる声は、この国際社会の見解とかけ離れている」と述べた。

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19http://journal.msn.co.jp/articles/nartist2.asp?w=118732 

米国はイラク攻撃を正当化できるのか――「悪の枢軸国」発言の波紋(ジェイコブ・ウェイスバーグ,Slate 2002 2 15

世 界で波紋をよんだブッシュ大統領の「悪の枢軸国」発言。米政府の強硬姿勢に呼応するように、米国内ではイラクを攻撃すべきだとの論調がたかまっている。ア フガンでタリバンを壊滅させたのと同じことをイラクでも、というわけだ。いまや「やる、やらない」ではなく「いつやるか」を焦点にしている向きもある。だ が、対イラク戦争へ対テロ戦争を拡大しようとしているようにもみえるブッシュ大統領の議論は、説得力を欠いている。

ブッ シュ大統領の一般教書演説(イラクや北朝鮮など大量破壊兵器の開発・保有で脅威と考えられている国々を「悪の枢軸国」と非難した)を聴いた当初、私は単純 に、大統領の強硬姿勢は重要な政策上の意味を持つと決めてかかった。だが、その後の動きとホワイトハウスからのリークをみていると、どうやらそれは違うよ うだ。「悪の枢軸」という文句は、スピーチライターの装飾にすぎず、ブッシュが「イラクとの軍事対決路線を選択した」という意味ではない。もっとも、ブッ シュはフセイン大統領と「戦争しない」と決めてもいないのだが(この問題はなお検討中と伝えられている)……。

  政権外部では、軍事行動を求める合唱は大きくなる一方だ。

  最も新しいところでは、クリントン政権の国家安全保障会議スタッフを務めたケネス・ポラックが、フォーリン・アフェアーズ誌近刊に寄稿、イラク侵攻擁護論を展開している(リンク1)。ポラックの見解は注目に値する。なぜなら彼は、3年前に発表し評価を得た記事「ロールバック・ファンタジー」(巻き返し政策の幻想:ポラックは共著・リンク2)のなかでは、イラク侵攻に反対する論をぶっていたのだから。

ア ル・ゴア政権が誕生していれば国家安全保障担当大統領補佐官に就任するはずだったレオン・フューアスらイラク侵攻懐疑派の重鎮さえも、今や駆け出しのタカ 派に変わったかのようだ。正真正銘のタカ派、リチャード・パールとのディベートのなかでフューアスは、イラクとの戦争を全面否定しなかった。それどころか 「イラク攻撃は時期尚早」と述べている(リンク3)。

そう、今やイラク侵攻をめぐる議論は「やる、やらない」ではなく「いつやるか」にあるようだ。外交政策関係者の間では、フセインとの戦争をいつまでも回避しつづけることはできないというコンセンサスができつつある。

しかし、私は逆の立場だ。パールやポール・ウォルフォビッツ(リンク4)ら対イラク強硬派寄りの立場から、フューアスやコリン・パウエルのようなハト派側へと身を転じた。理由は、一般教書演説で、対テロ戦争を対イラク戦争へと拡大しようとしたかにみえるブッシュの議論が、単に説得力を欠いていたためである。

  (以下略)

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20.●アフガン米空爆の民間死者3700人余 同時テロ超す 米教授集計

2002.01.08 東京朝刊 3頁 3総 (全485字) 

【ニュー ヨーク支局7日】7日付の米週刊誌タイム最新号(電子版)は、米ニューハンプシャー大学のマーク・ヘロルド教授(経済学)の集計として、米軍の空爆による アフガニスタンでの民間人の死者は昨年12月6日時点で3767人に達し、米同時多発テロの犠牲者数を上回ったと報じた。テロの犠牲者は同月19日時点で 3225人と伝えられていた。

 タイム誌によると、教授が用いたデータの大半は空爆に関する報道を基にしている。同誌は「信ぴょう性には疑問が残る」と付け加えた。

 空爆の犠牲者数について、アフガニスタン暫定政府や国際人権団体は、現時点での信頼の置ける調査は不可能としている。一方、米国防総省は「歴史上もっとも民間人の犠牲者が少ない戦争」と主張している。

米 空爆による犠牲者はその後も増え続け、先月30日には東部パクティア州で村人100人以上が死亡。同月22日の暫定政権発足式に向かう地方指導者が乗った 車列への爆撃で65人が死亡したと報じられている。同誌はこの2件について、米国防総省高官の見方として「地方有力者が政敵追い落としのため、故意に誤っ た情報を米軍に流した可能性がある」と伝えた。

朝日新聞

●IT駆使でも誤爆絶えず、標的の識別に壁 ハイテク軍事技術の限界

2002.02.11 東京朝刊 13頁 オピニオン1 写図有 (全1401字)

  アフガニスタンでの対テロ作戦で、米軍は予想外の早さでタリバーン政権を倒した。理由の一つに、指揮や通信、兵器システムへの、高度な情報技術(IT)の 応用があるとされる。戦場には新型ロボットが登場し、「軍事革命(RMA)の到来」という受け止め方もされた。だが誤爆は後を絶たず、多くの民間人が犠牲 になった。ハイテク戦争への過信を戒める専門家は少なくない。

 …誤爆によるアフガンでの民間人の死者を約3800人(昨年12月時点)とする、米国の専門家の推計もある。

●夢膨らむ、新生アフガン 検証・復興への道

2002.02.11 東京朝刊 5頁 特設A 写図有 (全5262字)

… 空爆による市民の犠牲者数はまだ判明していない。米ニューハンプシャー大のマーク・ヘロルド教授が新聞報道などから集計した数は今年1月24日までに 3850~3900人。赤十字施設や市場、病院、満員のバスの被害もあった。地元勢力が米軍にもたらした「虚偽情報」による誤爆もあったとされている。

 だが、暫定政権のカヌーニ内相は「(死者は)もっと少ないはず。米軍の攻撃は成功だったと言える」という。米司法省の案では、犠牲者3千人余りとみられる米同時多発テロの遺族補償は平均165万ドル(約2億円)。暫定政権に空爆の遺族を支援する余裕はない。

 5歳の娘を失った元警官のアブドル・バシルさん(34)は「米兵1人の給料分でも娘の償いをして欲しい」と怒りのほこ先を米軍に向ける。しかし「当面はイスラム伝統の相互扶助に頼るしかない」(国連幹部)状態だ。

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21.情報開示拒否の理由説明を  米政権に連邦地裁が命令

2002.02.02 共同通信 (全410字) 

 【ワシントン1日共同】米市民団体がブッシュ政権のエネルギー政策に関する情報開示を求めていた訴訟で、ワシントン連邦地裁は一日、政権側に情報開示を拒否する理由を陳述するよう命令した。

 この訴訟は、市民団体「司法ウオッチ」が昨年七月、ブッシュ政権のエネルギー政策を策定するため、チェイニー副大統領が座長となって行われたエネルギー政策特別チームの活動記録の開示を求めて起こしていた。

  昨年破たんしたエネルギー大手エンロンとブッシュ政権の関係を解明するため、議会の付属機関である米会計検査院(GAO)も同様の訴訟を起こすことを決め ている。ワシントン連邦地裁の判断は、GAOによる訴訟にも影響を与えるとみられるだけに、市民団体による訴訟の行方が注目される。

 GAOの情報開示要求に対しては、ブッシュ政権側は「要求はGAOの法的権限を逸脱している」(フライシャー大統領報道官)などと拒否、訴訟で全面的に争う方針を決めている。

共同通信社

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 22.朝日、16日より。加筆時点の情報。

http://www.asahi.com/home.html#top

■米温暖化対策、議定書と二重構造に? 環境省内、懸念も

 京都議定書から離脱した米国が14日に発表した「温室効果ガス削減計画」は、強制ではなく産業界の自主的な努力に任せるなど議定書に比べ、緩い内容だった。

  環境省は米国が緩い削減対策を出してくるのは予想通りだった。まず、「温暖化対策は世界がひとつのルールのもとで取り組まなければ、効果は得られない」と 米国の議定書への復帰を求める。同時に、米国案は「経済成長の利益を『原資』に省エネ対策などを進めるやり方。経済が失速すると排出抑制も緩み、結局、二 酸化炭素(CO2)は減少には転じない」と批判。さらに、「途上国への大型支援に乗り出すのはいいが、米国と途上国が実効性のない削減対策のグループをつ くれば、京都議定書と二重構造にならないか」といった懸念も出た。

  温暖化問題で政策提言活動をしている非政府組織(NGO)の気候ネットワーク(浅岡美恵代表)は、米国案では12年の温室効果ガス排出量が90年に比べ 30%も増えるという試算を指摘し、「削減どころか現在と同様のハイペースで排出を増加させることを許容する案で、温暖化対策とは到底呼べない」と強く批 判する。

  一方、産業界は対策を打ち出したことに対して歓迎の意向を表明し、国内総生産(GDP)の伸びなどを考慮した手法も高く評価した。経団連の地球環境部会長 を務める東京電力の桝本晃章副社長は「GDPと結びつけたこの相対評価こそ京都議定書の議論の中で日本が主張していたことだ。また、規制や税でなく、経済 成長が次の技術革新につながるという考えも米国らしい現実的な提案だ」と述べた。

 鉄鋼業界は「日本政府の手法は産業界から見ればムチばかり。アメがほしいとは言わないが、米国は手厚い財政的な支援策を用意しているようで、日本政府も参考にしてほしい」(日本鉄鋼連盟)。

■「核兵器回帰」米の姿勢鮮明 未臨界核実験

  【ワシントン15日=大牟田透】米国と英国による初の共同未臨界核実験が14日、米ネバダ州の実験場で実施された。英国に未臨界核実験への参加を認めたこ とで、米国は核兵器を究極の後ろ盾に考える「核兵器回帰」の動きをいっそう鮮明にし、世界の核不拡散体制はますます危ういものになった。

 米国の核兵器回帰は、ここ数年で少しずつはっきりしてきていた。

  クリントン前政権は99年に包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准に失敗。ブッシュ政権になると、CTBTの発効促進会議に欠席、国連に日本政府が提出 した核廃絶決議案にインドとともに反対票を投じた。地下核実験の再開を「選択肢の一つ」とも表明した。地下核実験はもちろん未臨界実験も、新型核兵器の開 発に役立つとされる。

 また、核弾頭も廃棄せずに温存する方針を明らかにしている。

 一方、民間シンクタンク「英米安全保障情報評議会」(BASIC)によると、未臨界実験関連の情報を介した米英の結びつきは、水面下で着実に深まっていた。ネバダ実験場を訪れた英国人は99年の9人から01年は40人に増えた。

 「英国政府はこれまでも、観測機器や概括的な実験結果について米国から説明を受けてきた。99年に米上院に対しCTBT批准を求めたブレア首相が、最近はブッシュ大統領のCTBT死文化方針を黙認しているようにみえる」と指摘する。

  核兵器の保有国を米国、ロシア、英国、フランス、中国の5カ国に限り、それ以上には増やすまいという核不拡散条約(NPT)体制は危機にある。そうした中 で、核開発の誘惑にかられる非核国も相次ぐ。英国が新たに未臨界実験実施国に加わったことで、核不拡散をめぐる情勢はさらに悪化する可能性も出てきた。

●「悪の枢軸」指名に金総書記苦悩 面会のロ全権明かす

  ロシアのプリコフスキー極東管区大統領全権代表は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問した際に、金正日総書記が米国から「悪の枢軸」と名指しされ苦悩していると明らかにした。15日、インタファクス通信が伝えた。

 プリコフスキー全権代表は12日まで3日間、北朝鮮を訪問し金総書記と会見した。金総書記は「悪の枢軸」に言及し、米国の強硬な態度に不快感を表明したものの、その態度は「思い悩み痛ましい様子」だった。総書記は米国との関係改善を望んでいるという。

メッカ巡礼遅れに激怒、アフガン人が航空相を殴り殺す

 アブドル・レーマン航空・観光相の写真を手に悲しみにくれるカブール市民=AP

 アフガニスタンのカブール空港で14日夕、メッカ巡礼への出発が遅れていることに激高した多数のアフガン人巡礼者が暫定政権のアブドル・レーマン航空・観光相を取り囲んで殴るなどの暴行を加え、同相は同日深夜、病院で死亡した。

 巡礼者たちは、メッカがあるサウジアラビアのビザ発給が遅れ、空港で長時間待たされ凍死者も出る状況下、レーマン氏がインドの家族に会うために航空機を1人で利用しようとしたことに怒りを爆発させた模様だ。

 暫定政権は15日、5閣僚が参加する事件調査委員会を設置した。

 一部始終を目撃した空港警備主任によると、レーマン氏は巡礼者の抗議を無視して専用機に乗り込んだが、巡礼者に機体を揺らされ、ドアを開けてタラップに出たところを地面に突き落とされ、殴り続けられたという。

 この主任によると、騒動の間に空港周辺に配置されている国際治安支援部隊(ISAF)が現場に到着したが、制止などの行動はとらなかった。ISAFの派遣目的にはカブールの治安維持が含まれている。

 約1000人の巡礼者が3日前から空港の外で出発を待たされ、高齢の巡礼者4人が寒さに耐えきれずに死亡したという。(20:36)

 ●イスラエル軍がガザに侵攻、パレスチナ人3人死亡

   イスラエル軍は15日夜から16日朝にかけて、パレスチナ自治区ガザで空爆や侵攻などを繰り返し、パレスチナ人3人が死亡した。ロケット弾の発射、イスラ エル戦車への爆弾攻撃などパレスチナ過激派の攻勢への対抗措置と見られるが、16日朝、自治区北部から新たにロケット弾がイスラエル南部に撃ち込まれ、状 況はさらに悪化の様相を見せている。

 自治政府筋によると、イスラエル軍のF16戦闘機が15日夜、ガザ自治区北部のジャバリア難民キャンプにある治安部隊本部を空爆し、パレスチナ人治安警官1人が死亡、30人以上が負傷した。

 さらに同軍は16日未明から早朝にかけてガザ中部のマガジ難民キャンプ、ブレイジキャンプ、ガザ市郊外のゼイトン地区の3カ所に相次いで侵攻した。ブレイジキャンプでは銃撃で17歳の少年が死亡し、5人が負傷。ゼイトン地区ではパレスチナ公安警察の建物を破壊した。

(20:41)

●アフガン航空相 機構幹部の暗殺 (産経新聞)

カルザイ議長会見 内戦のしこりで反目

【イスラマバード16日 =岩田智雄】アフガニスタン暫定行政機構のアブドル・ラーマン航空・観光相が殺害された事件で、カルザイ議長は十五日、犯行は巡礼者によるものではなく、 暫定行政機構内の幹部が関与した暗殺事件であることを明らかにした。このところ活発な外交活動を展開し、諸外国からは好印象をもって受け入れられているカ ルザイ議長だが、足元の政権内部の脆弱(ぜいじやく)さをさらけ出した格好だ。

  カブール発のロイター通信によると、カルザイ議長とともに記者会見したラヒーン情報文化相は、国防省のアブドラ・ジャン・タフィディ司令官▽カランダル・ ベグ国防次官▽ハリム検事の三人を逮捕したことを明らかにするとともに、「事件は個人的な反目によるもので、政治的背景はない」と語った。さらに、巡礼者 に紛れてサウジアラビアへ出国した別の容疑者三人について、サウジ当局に対し逮捕と身柄の引き渡しを求めた。

 アフガニスタンでは、新政権づくりへ向けて地方で衝突している軍閥間の調整が課題となっているが、今回の事件は暫定行政機構内部にも内戦のしこりが色濃く残っていることを見せつけた。

 カルザイ議長は十七日からドイツなどを訪問、復興に向けた国際社会の支援を取りつけるのに躍起だが、政権内部の暗殺事件という事態は、地方を含め国内の安定により重点を置くべき必要性を示しているといえる。



23.凶悪犯罪増え市民不安 タリバーン政権崩壊後3カ月のカブール

2002.02.03 東京朝刊 5頁 1外 (全964字) 

【カブール2日=平田篤央】タリバーン政権が崩壊して3カ月近くがすぎたアフガニスタンの首都カブールで、殺人や強盗などの凶悪事件が増え、市民の間に不安が広がっている。手首を切り落とすなどの過酷な刑罰で治安を引き締めていたタリバーン時代が去り、自由な空気が流れ始めたゆえの皮肉な現象だ。市民の間からは「タリバーン時代のほうが治安はよかった」との声もあがっている。

 市内で板金工場を営んでいたナシルさん(32)が乗用車に乗ったまま行方不明になったのは1月12日。3日後にホテルのそばで遺体が見つかったが、犯人と車は見つかっていない。弟のサベルさん(27)とシャケルさん(24)は、金目当ての強盗の仕業だと思っている。

 ナシルさんの残された妻と3人の娘は、サベルさん兄弟が面倒を見ている。娘たちには「お父さんは旅行に出かけた」と話した。サベルさんは「いまの警察は本気で捜査しているのか、信用できない。治安に関して言えば、タリバーン政権のほうがずっとよかった」と話す。

 タリバーン時代は、殺人犯は犯行と同じ手段でナイフや銃で死刑となり、強盗は手首と足首の切断、窃盗は手首の切断という厳しい刑罰が科せられたため、犯罪は非常に少なかったという。

 カブール市警察のアブドル・ラティフ刑事局長は「パキスタンやイランにいた難民、地方に逃れていた国内避難民がカブールに戻り始めた。人々の間には、内戦の後遺症で互いに恨みを持つものもいる」と事件頻発の背景を説明する。

 内戦中の各派の兵士は武装解除されることになっているが、カブールを一歩出れば、北部同盟の兵士が銃を手に道路わきに陣取っている。市内にも銃や弾薬が流入しているのが実情だ。

 このため市警は、犯人や武器を隠すとして、黒いフィルムを張った乗用車の取り締まりを1月29日から始め、2日までに550台の車からフィルムを取り除き、6人を違法な銃の携帯を理由に逮捕した。

カ ブール市警によると、12月22日に暫定政権が発足してから殺人事件は8件起きたが、この1カ月では2件だけだという。ラティフ局長は、「昨年末に国際治 安支援部隊(ISAF)が展開して、その数が増えるにつれて治安はよくなっている」と強調する。市民の間にもISAFへの期待は大きく、暫定政権のカルザ イ議長も訪問先の米英で、ISAFの増派を求めたばかりだ。

朝日新聞社


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